共創するチカラ 養鶏

共創するチカラ共創するチカラ 養鶏
東山産業×danran×JA西日本くみあい飼料×JA香川県
オリーブなどの餌で付加価値高め卵を生産

 香川県三木町の農事組合法人東山産業は、JA西日本くみあい飼料株式会社やJA香川県と連携し、特産のオリーブの葉などを使った餌で卵の付加価値を高めている。6次産業化にも力を入れ、オリジナルのスイーツや自社の卵を使った料理を提供するカフェも人気を集めている。地元の農家と協力して菓子も開発するなど、地域との共創を広げている。

Data

農事組合法人東山産業

所在地:香川県木田郡三木町井上822-1
創業:1961年 飼養羽数:約30万羽 従業員数:役員を含め56人

ヒヨコから卵まで一貫生産している東山産業の皆さん
白たまご・オリーブEgg
さくらたまご

経営のポイント

  • オリーブの葉やPHFトウモロコシを餌にした卵で付加価値を付ける
  • 自社の専門店で卵を使ったスイーツなどを販売し、消費者に魅力を発信
  • JA西日本くみあい飼料などと餌の配合から販売まで協力
「オリーブEgg」「白たまご」「さくらたまご」の詰め合わせ
夏場はクーリングパドを取り入れるなど、
成績を落とさないよう工夫している
清潔に保たれた鶏舎で作業をする従業員

東山産業

東山産業の鶏舎

強みを感じて6次化に注力 餌や飼育方法を変えた卵生産

 「地元の人に自分たちのことを知ってもらうことを意識し、付加価値を付けられるよう努めています」。代表を務める志渡(しど)聡一郎さん(47)は経営のこだわりについてこう話す。

 地元の大学を卒業後、6次産業化の先駆けである三重県の伊賀の里モクモク手づくりファームで研修。1年間、ハムやパン作り、イベント出店など、さまざまなことに関わり、6次産業化や経営について学んだ。「イベント出店ではすごい数の商品を売りました」と話し、付加価値の高い商品を多くの人が買い求める姿を見て、6次産業化の強みを実感した。

 志渡さんは「モクモク手づくりファームでの経験が、今の経営に生きている」と語る。

 東山産業では現在、主に4種の卵を販売。オリーブの葉を餌にして育てる「オリーブEgg」は、香川県の特産を活用した商品で付加価値を付けたいと考える中、オリーブの葉を餌にする「オリーブハマチ」から着想を得て開発。「葉酸」が通常の卵に比べ1.7倍ほど多いという。自社のカフェ「danran」の食事メニューでも使っており、「黄身の味が濃厚」と好評だ。

 「さくらたまご」は、生協を中心に出荷。食の安全・安心の意識が高まる中、全農グループが取り組んでいるIPハンドリング(遺伝子組み換えトウモロコシの混入を防ぐための分別生産流通管理)を行い、収穫後に品質保持のための農薬を使用していないPHF(ポストハーベストフリー)トウモロコシを使っている。

 この他、平飼いで伸び伸び育てる「平飼いたまご」、さっぱりした味わいの「白たまご」をそろえる。

「付加価値を付けられるよう努めています」と話す志渡さん

全農やJA西日本くみあい飼料と高品質な卵の安定生産へ協力

大豆油かすや玄米の入った飼料

 餌は、JA西日本くみあい飼料のものをメインに使う。大豆油かすや玄米を入れうま味を出すことに加え、卵の出来や季節に応じて餌の配合割合を変えるなど飼料設計で密に協力している。

 また、東山産業では、JA全農のクリニックセンターを積極的に活用する。血液検査などを徹底し、病気予防、早期改善に力を入れ、成績を落とさないよう努めている。JA西日本くみあい飼料四国支店営業課の新田峻さんは「東山産業の卵は、高品質で安定している」と話す。

 卵は、JA香川県の子会社や全農たまごへの販売があり、生産から販売まで、東山産業とこれら3者が連携することで、消費者の元にこだわりの卵を届けている。

卵を使った多彩なスイーツで盛況 JAタウンでも人気集める

 晴天の下、田園風景を横目に車で走っているとスタイリッシュな白い建物が現れた。東山産業が2015年に開店したカフェ併設の「たまご専門店 danran」だ。店内に入ると、白を基調にした中に黄色の柱が立ち、さりげなく「卵」を感じさせる。

 人気の秘訣が、自社の卵をふんだんに使った料理や菓子。鳥そぼろといり卵が載った二色丼やカルボナーラの他、パフェなどのスイーツが食べられる。自慢のパンケーキは柔らかくぷるぷるとした食感で、「他では食べられない」と訪れる人々を魅了する。訪れたのは平日のランチタイム。地元の女性客らで店内はほぼ満席だ。

 「自分たちのことを、地域の皆さんに知ってもらえる場をつくりたかった」。志渡さんは開店の経緯をこう説明する。卵や卵の商品を通じて団らんを届けたいとの思いから、「danran」と名付けた。

 商品開発は、志渡さんが中心となり進める。手土産として、焼きドーナツやシュークリーム、プリンなど、それぞれたっぷり卵を使って作る商品も人気。取材中も、買い求める人が続々と訪れていた。

 東山産業の商品は、全農のECサイト「JAタウン」でも人気を集めている。JAタウン内にあるJA西日本くみあい飼料の「西のおいしさこだわりマルシェ」で取り扱い、ドーナツや卵の食べ比べセットなどを販売している。出品に当たっては、JA西日本くみあい飼料がサイトへの商品登録やメールマガジンの作成、問い合わせ対応などを担い、丁寧にサポート。志渡さんは「サポートのおかげもあり、大きな負担はなかった」と振り返る。

 担当するJA西日本くみあい飼料本社企画課の三輪好子係長は「東山産業の商品は人気がある。販路拡大の助けになればうれしい」と話す。

 商品開発は、地域の農家との協力にも発展。地元の農産物を活用した名物を作りたいと、地元の農家に呼び掛け、三木町産のイチゴと東山産業の卵を使った「エッグベリー・フィナンシェ」を開発。優れた香川県産品を表彰する県の「令和4年度かがわ県産品コンクール」では、最高位の知事賞(最優秀賞)を受賞した。

 志渡さんは「品質を保ちつつ、消費者の要望に応え、新しい商品開発などをもっと進めていきたい」と力を込める。

地元の農家と協力して開発した
「エッグベリー・フィナンシェ」
イチゴと卵の共創
事務所(右)と「danran」(左)

たまご専門店 danran

プレーンの他、抹茶やコーヒーなどを
そろえる焼きドーナツ
自慢の卵を使ったスイーツを味わってみてください
ランチで人気の卵料理
  • 焼きドーナツやプリン、シュークリームなど豊富なスイーツをそろえる
  • 「さくらたまご」「オリーブEgg」「平飼いたまご」などを販売。詰め合わせも人気
  • ランチタイムのカルボナーラや二色丼の他、パンケーキなど卵をふんだんに使った料理を提供
Information

たまご専門店 danran(だんらん)

Comment

●JA西日本くみあい飼料四国支店営業課の新田峻さん、西道礼音さん

「飼料設計などしっかり協力し、経営安定へ協力したいです」

●JA香川県畜産課課長補佐の谷本洋さん

「東山産業とJAは古くからの付き合い。香川県の鶏卵生産を引っ張っている存在です」

左から新田さん、西道さん、
志渡さん、谷本さん

Information

JAタウン 西のおいしさこだわりマルシェ

JAタウンには、JA西日本くみあい飼料が「西のおいしさこだわりマルシェ」の名前で出店。東山産業の商品の他、肉や肉加工品、水産物など98アイテム(23年8月時点)をそろえています。

詳しくはこちらから

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