マーケット情勢(全農畜産総合対策部・6月まとめ)

2025.07

各畜種の家計消費量・家計消費金額は総務省家計調査より

豚肉

 4月の全国豚と畜頭数は1,376千頭だった(前年比97.7%)。地域別と畜頭数(数値は前年比)は、近畿が92.7%、中四国が93.7%と大きく減った。

 4月の輸入通関実績は、豚肉全体で94.0千t(前年比95.1%、前月比142.4%)。内訳は、チルドが35.9千t(同106.4%、同107.2%)、フローズンは58.1千t(同89.3%、同178.6%)となった。国別で見ると、チルドではカナダ、メキシコが増加した。フローズンではブラジルが増えたが、ほとんどの主要国で減少した。

 総務省発表の4月度家計調査報告によると、全国二人以上の1世帯当たり豚肉購入数量は1,843g(前年比102.9%)、支出金額が2,891円(同107.3%)となった。

 5月の東京市場枝肉卸売価格(速報値:5月31日時点)は、659円/kg(前年比92.3%)と前年を下回った。GW中の豚枝肉相場は横ばいで推移していたが、GW明けから出荷頭数が徐々に減少したことから、需給がひっ迫し高値推移となった。下旬にさらに出荷頭数が減少したことで前月価格を上回った。

 6月は、消費者の節約志向が継続することが想定されるものの、出荷予測が前年比109%であり、例年と比べると供給量が少ないことなどから需給が引き締まり、強含みで推移する見通し。

【令和7年7月の相場予想】※東京市場 上物・税込830円

豚枝肉「上」の卸売価格(東京食肉市場)
豚枝肉の家計消費量と消費金額(全国1世帯当たり)

牛肉

 4月の成牛と畜頭数は、94.9千頭(前年比98.3%)となった。和牛が48.0千頭(同103.1%)、交雑牛が22.7千頭(同101.6%)、乳牛去勢が9.1千頭(同81.3%)となった。

 4月の輸入通関実績は、全体で53.1千t(前年比84.0%、前月比171.5%)。チルドが14.9千t(同81.7%、同111.3%)、フローズンが38.3千t(同84.9%、同217.3%)となった。

 総務省発表の4月度家計調査報告によると、全国二人以上の1世帯当たり牛肉購入量は439g(前年比97.6%)、支出金額が1,618円(同101.0%)となり、購入量は前年を下回ったが、支出金額は上回った。

 5月の東京市場枝肉卸売価格(速報値:5月31日時点)は、和牛去勢A5が2,486円(同100.7%)、A4が2,266円(同106.8%)、交雑去勢B3が1,625円(同102.8%)、乳牛去勢B2が1,177円(同118.8%)だった。GW需要の反動や消費者の節約志向などから消費が振るわず、和牛は前月は下回ったが前年を上回った。交雑は、和牛代替需要から需給が引き締まり前年・前月ともに上回った。乳牛去勢は、輸入牛肉の代替需要が続いているものの、GWの反動などから需給が緩み、前年は上回ったが前月は下回った。

 6月は、消費者の節約志向が継続することに加え、昨年より早い梅雨入りにより消費が伸び悩むことなどから、和牛・交雑とも弱含みの見通し。

【令和7年7月の相場予想】※東京市場 税込
◎和牛去勢A4:2,200円 ◎交雑去勢B3:1,600円 ◎乳牛去勢B2:1,150円

和牛枝肉「去勢A-4」の卸売価格(東京食肉市場)
乳用枝肉「去勢B-2」の卸売販売価格(東京食肉市場)
牛肉の家計消費量と消費金額(全国1世帯当たり)

鶏卵

 4月の餌付け羽数は、全国で8,350千羽(前年比102.3%)と前年を上回った。

 4月の鶏卵の一人当たり家計消費量は905g(同103.3%)と、前月に続き前年を上回った。4月は卵価のさらなる上昇と原材料費などのコスト増加に伴う店頭価格の改定も進んだことから、今後も家計消費量への影響が懸念される。

 5月の東京相場Mサイズ基準値平均は340円/kg(前年比+136円/kg、前月比+6円/kg)となった。2月1日に千葉県にて高病原性鳥インフルエンザが発生してから家きんでは約4カ月以上発生していないものの、842万羽の殺処分の影響は供給面に響いている。稼働羽数が減少しているため、生産量は低位に推移している。需要面では、量販筋は大型連休後から落ち着きが見られた。外食筋でも連休明け以降は発注数量が落ち着いた。加工筋では、前月に続き在庫確保のため引き合いが強く、スポット集荷の依頼も継続している。

 供給面は6月から7月にかけて稼働羽数が減少していくことが予想され、産地在庫は低位のまま推移する見通し。需要面において、梅雨時期に突入したことに伴い購買意欲の低下が考えられる。一方で、加工筋では引き続き在庫確保へ向けて集荷が続き、引き合いが強いまま推移することが予想される。以上のことから、今後の鶏卵相場は横ばいの推移となることが考えられる。

 高病原性鳥インフルエンザの野鳥での発生は、5月30日時点で19道県226事例に上る。

鶏卵取引価格・全農たまごMサイズ基準値(東京)
鶏卵の家計消費量と消費金額(全国1世帯当たり)

鶏肉

 生産・処理動向調査によると、4月の推計実績は処理羽数66,450千羽(前年比103.8%)、処理重量199.4千t(同101.2%)となった。処理羽数は前月時点の計画値から1.5%の上方修正となった。同調査によると「4月は全体的に堅調、3月は生産成績が落ち込んだという報告が多かった。寒さの影響による増体不良で、農場によって成績のばらつきが大きく、商品化率の低下や工場廃棄が増加した」という。

 4月の鶏肉(原料肉)の輸入量は前月から+5.4千tの47.7千t、国別ではブラジルが前月+4.0千tの30.3千t、タイが+1.2千tの16.8千tとなった。

 4月末時点推定期末在庫では国産25.0千t(前年比70.3%)、輸入品127.4千t(同100.3%)と合計で152.4千t(同93.8%)となった。

 5月の月平均相場は、モモ肉が842円/kg(前月差+43円)、ムネ肉が497円/kg(同+53円)、正肉合計で1,339円/2kgと前月比+96円、前年比+354円となった。

 5月の生産量は入雛羽数・処理羽数および処理重量とも前年並みに推移する見込み。鶏肉相場については、4月よりモモ肉、ムネ肉共に急激に上昇している状況である。そのため、量販店ではGW明けから国産品の店頭売価を改定したり、輸入品(ブラジル産・タイ産解凍商品)への販売シフトが多く見られたりした。また、国産鶏モモ肉と豚肉との売価が逆転する店舗も見受けられる。今後の需給動向に不安感が出てきている中、安価な国産鶏モモ肉も出回りつつある。

 今後の相場は、モモ肉は6月以降も需要が回復するまでは右肩下がりの傾向が続き、ムネ肉は需給が均衡している中で1kg500円前後を推移すると予測する。

【令和7年7月の相場予想】 ◎モモ肉:760円 ◎ムネ肉:500円

ブロイラー(正肉)市況の推移
ブロイラーの家計消費量と消費金額(全国1世帯当たり)

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