冬場を迎えるにあたって
冬場における子牛の寒さ対策とワクチン接種について/冬場の飲水環境と生産性について

2021.10

子牛は体重あたりの体表面積が大きく、脂肪や被毛による断熱効果、反芻胃での発酵熱が少ないため、成牛に比べて寒さに弱い特徴があります。冬は寒冷ストレスに加え、空気の乾燥等で呼吸器病が増える季節です。寒さ対策と、ウイルス感染症対策についてご紹介します。

笠間乳肉牛研究室

子牛の寒さ対策

 ジャケット着用やヒーターの活用など、子牛の寒さ対策にはさまざまな方法がありますが、寒い外気から子牛を守るためには豊富な敷料も欠かせません。敷料の量(深さ)を考える指標の1つとして、表1のようなネスティング・スコア(nesting score)というものが提唱されています(Lago et al., 2006)。ワラなどを用いてしっかり「巣ごもり(nesting)」できるようにすると、子牛は外気から身を守ることができます(写真1)。床からの底冷えを防ぐためにも、冬場は敷料の量を増やして子牛を寒さから守りましょう。
 寒さ対策を考える上では、子牛に当たる風の強さも重要です。子牛に直接風が当たらないようカーテンやコンパネで風よけを作り、壁からのすきま風が当たっていないかなどもチェックしましょう。一方で、完全に牛舎を閉め切ったままにしておくと、蓄積したアンモニアが気道粘膜にダメージを与え呼吸器病の原因となります。冬場であっても1日の中で時間を決めてカーテンを開けるなど、定期的な換気が必要です。

ウイルス感染症とワクチン接種

 ウイルスや細菌などの病原体に対してはワクチン接種による予防も効果的です。冬場に流行しやすいウイルス感染症の1つが、牛RSウイルス感染症です。このウイルスは主に子牛で強い呼吸器症状を引き起こします。伝染力が非常に強く、発症牛と同居している牛への感染から始まり、農場内で次々に感染が拡がってしまうこともあります。当室でも、直近の2年間で発症を確認。発生時期は1月、2月といずれも冬場で、群飼している離乳後の子牛群(4-5カ月齢)での発生が多く見られました。
 牛RSウイルス感染症の予防には、単味RSウイルスワクチンや、他のウイルスとの混合ワクチンが市販されています。当室では表2に示したワクチンプログラムで呼吸器病対策を行っていますが、今年度からは冬場の牛RSウイルス感染症の流行に備え、秋口に単味RSウイルスワクチンの群飼子牛への一斉接種を実施します。単味ワクチンを追加接種することで、流行時期の前に牛RSウイルス感染症に対する抵抗力を上げることが狙いです。
 牛の呼吸器病は複数種類のウイルスや細菌の混合感染で起こる場合が多く、農場ごとに問題となる種類も異なります。飼養環境によって病気が出やすい月齢や時季も違うため、かかりつけの獣医さんと相談しながら農場に合わせたワクチン接種を行い、呼吸器病の発生を予防しましょう。

写真1.子牛が横になると敷料で肢が隠れて見えない(スコア3)

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