高病原性鳥インフルエンザ対策について

2021.10

高病原性鳥インフルエンザは、家畜伝染病予防法で指定された特定家畜伝染病です。
致死性が高く、伝染力も非常に強いため注意が必要です。今回は対策についてご紹介します。

① 昨シーズン(令和2年11月~令和3年3月)の高病原性鳥インフルエンザ発生状況

 令和2年11月から令和3年3月までの養鶏場における高病原性鳥インフルエンザ(以下HPAIと略す)の発生は、過去に例を見ない発生件数となり、栃木から鹿児島までの18県52農場で約987万羽が殺処分されました(表1)。
 過去に大規模の発生があった平成28年から平成29年の同時期と比べて、昨シーズンにおける発生件数、処分羽数の多さが分かります。
 また、同時期に環境省が行った野鳥を対象としたサーベイランスにおいても、昨年10月から今年3月までに北海道から鹿児島までの18道県というほぼ日本全域で58事例からHPAIウイルス(H5N8)が検出されました。
 全国的にHPAIウイルスを保有した渡り鳥の飛来が多くなり、周辺環境へのHPAIウイルスの汚染が広がり、野鳥間で感染が拡大し、結果として地域の食物連鎖の頂点にいる猛禽類で高い検出率になるなど、各地における環境中のHPAIウイルス濃度が高くなったと考えられます。
 また、R2-3シーズンの初期の発生農場における疫学調査では、長靴の交換をしていない、野生動物の侵入の可能性があるなど衛生対策の不備が指摘される事例がありました。こうした事態を受けて、令和2年12月から令和3年4月まで計5回にわたり、全国の養鶏場を対象とした飼養衛生管理の自己点検が実施されました(表2)。この点検では衛生管理区域、鶏舎出入りの際の衛生管理対策などを中心に行われ、12月の第1回集約では、6項目における遵守率が90%前後とやや低い傾向でした。しかし、回数を重ねるに従い遵守率は99%超へ改善されました。

② 海外での発生状況

 日本国内では令和3年4月以降、養鶏場でのHPAI発生は終息しましたが、近隣の台湾やベトナムで継続した発生が報告されています。また、ヨーロッパにおいては、EU諸国で発生が継続しており、8月時点ではポーランドなどの養鶏場で発生が報告されています。更に南アフリカにおいても発生が継続している状況です。世界的に発生が継続していることから今年の冬季も引き続き警戒が必要です。

③ 養鶏場での取り組み

 養鶏場においては日頃から飼養衛生基準を遵守し、「HPAIウイルスを鶏舎に入れない」ための取り組みの再点検を行ってください。
 鶏舎出入の際は手指の消毒を徹底してください。手指の消毒は手に付着した病原体の持ち込み防止を目的に実施します(図1)。
 鶏舎の出入り口は病原体を鶏舎内に持ち込まない(交差汚染防止)ため、鶏舎外で使用する長靴と鶏舎内で使用する長靴をスノコなどで区切って物理的に離して置きます(図2)。

図1.鶏舎出入りごとの手指消毒
図2.鶏舎入口での長靴のはきかえ


 また、野生動物への対策は、動物の隠れ場所を減らすため、鶏舎周囲の整理・整頓を行い、鶏舎内への侵入防止のため薬剤散布、壁の穴などの修繕、ピット等鶏舎ごとの排出口の使用時を除く常時閉鎖を行います(図3、4、5)。
 これらの対策は、渡り鳥が飛来する湖沼などが近隣にある養鶏場では特に注意して実施してください。

図3.鶏舎周囲の整理整頓
図4.鶏舎壁の穴
図5.集糞ピットふた設置

④ 昨シーズンをふまえた農林水産省の取り組み

 昨シーズンの発生時の課題をふまえ、農林水産省は家畜伝染病予防法施行規則などの見直しを行い10月より施行されます(表3)。この中では埋却等に備えた措置として家畜所有者の埋却地又は焼却施設の確保(採卵鶏50万羽以上、肉用鶏20万羽以上)、大規模農場(養鶏場の場合、飼養羽数10万羽以上)における畜舎ごとの飼養衛生管理者の配置、農場ごとの飼養衛生管理マニュアルの充実と従事者等への周知などが盛り込まれており、従来の飼養衛生管理基準を更にレベルアップする内容となります。特に養鶏場においては、令和3年10月が期限となる飼料保管庫、堆肥舎等への防鳥ネット設置、令和4年2月までが期限となる飼養衛生管理マニュアルの策定・従事者等への周知を忘れずに実施してください。

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