全農は中期三カ年計画の重点実施策として、JAグループの運営するCS・CBSへの衛生対策支援を実施しています。
CS・CBSへの衛生対策支援!

2021.10

家畜衛生研究所(JA・経済連・くみあい飼料・府県本部との取り組み)

CS・CBSとは

 CS(キャトルステーション)は、酪農家や繁殖農家で生まれた子牛を引き取り、肥育または繁殖の素牛となる月齢まで飼養管理・育成する施設です。また、CBS(キャトルブリーディングステーション)は、酪農家から乳用種雌子牛、もしくは繁殖農家から和牛雌子牛を預かり、育成・妊娠させ、分娩数カ月前まで飼育する施設です。これらの施設を利用することで、酪農家や繁殖農家は、子牛の飼養管理・育成・種付けなどの作業がなくなり、労働負担が軽減されます。JAグループでは、地域の養牛生産基盤を維持・拡大するためCS・CBSの取り組みを進めています。

図1. 家畜衛生研究所 クリニック分室

CS・CBSでの衛生対策の重要性

 CS・CBSは、養牛農家から牛を預かり集団飼育します。いろいろな農場から牛を預かるため、病原体を持ち込んでしまうリスクと常に隣り合わせにあります。いったん病気が持ち込まれて発生すると、集団飼育のために病気が拡がりやすいという性質があります。特にCSでは子牛の免疫力が未成熟なため、出荷元の農場、農場から施設までの輸送中、そして、育成する施設において感染症にかかりやすく、疾病による問題がしばしば起きています。疾病が発生してしまうと子牛の発育不良、飼料効率の低下、治療コストの増加や死亡の発生につながるので、健康な子牛の育成及び施設の安定的な運営には疾病の予防対策が欠かせません。

家畜衛生研究所の取り組み

 JAグループの運営するCS・CBSでの疾病予防を目的に、全国5カ所の家畜衛生研究所のクリニック分室(図1)では、CS・CBS及びその地域の関係者と協力し、定期的な支援を行っています。令和2年度までの過去3年間では、分室所属の獣医師が全国17農場を対象に重点的に衛生対策支援を行いました(図2)。
 CS・CBSへの支援対応は大きく分けて4つの取り組みを実施しています(図3)。

図2. 全農クリニックのCS・CBS対応の推移
図3. CS・CBSの衛生対策に関する機能分担(例)
①導入牛の健康診断

 さまざまな農場から導入される牛について定期的に病原体の保有状況をチェックし、疾病の場内拡散を予防するための対策に役立てています。

②農場の定期巡回、定期検査の実施

 農場に訪問し、飼養状況や衛生状態、牛の健康状態や生産成績などをチェックします。また、ワクチンプログラムの適否、疾病の有無と浸潤状況、有効な薬剤を選択するための検査などを実施し、より効果的な衛生対策を提案しています(写真)。

③事故対応・原因究明のための検査

 地元獣医師と連携し、疾病の原因究明のための検査や、検査結果に基づく再発防止策や治療方法の提案を実施しています。

④勉強会・研修会の実施

 農場の検討会に参加し、検査結果や予防対策の提案に加え、病気や衛生対策についての勉強会の実施に取り組んでいます。
 このような取り組みの結果の一例として、事故率の改善、治療コストの低減、増体成績の改善などの成果が得られています(図4)。良好な結果が得られるまで時間がかかりますが、CS・CBSや関係部署の協力あってこその成果であり、JAグループ一丸となった継続した取り組みが必要です。

写真. 現地報告会の風景(CS農場A 2019年6月撮影)
図4. 事故頭数が改善した例(CS農場B)

今後

 昨今の家畜伝染病発生状況により家畜伝染病予防法が改正されるなど、家畜衛生への関心は高まっています。
 今後も生産性を阻害する感染症の予防衛生対策を通じて、農場の生産性向上、養牛生産基盤の維持・拡大に向けて、家畜衛生研究所は取り組んでいきます。

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