教えて!中研 養豚

教えて!中研教えて!中研 養豚
梅雨前から始める夏場対策
効果的なハエ対策を!

 害虫は衛生管理や養豚経営にとって大きなリスクとなります。暑くなると害虫を目にする機会も増えてきます。今回は、梅雨前から対策を始めることで効果が期待される害虫対策について紹介します。

養豚研究室

害虫対策はなぜ必要か

 人や車両、物の防疫対策を徹底していても、害虫の対策がなければ効果は低減してしまいます。

 例えば、蚊は死産の原因となる疾病を媒介する可能性があります。その他、サシバエ、アブ、ヌカカも吸血し、血液を介して疾病を広げることが確認されています。吸血をしないハエでも、傷口を介して疾病が伝播するため、感染の危険性を大きくする要因になります。

 今回は、適切な防除が行われていない場合に、大量発生して問題となるハエの対策を紹介します。

ハエの生態

 最も一般的な種がイエバエで、世界的にも畜産では重要な害虫です。地域によって異なりますが、イエバエは3月頃から発生し始め、梅雨の終わり頃に増加します。イエバエのライフサイクルを図1に示しています。卵は堆積した糞の表面近くなど、比較的乾燥した糞の中に産みつけられます。卵からかえった幼虫は新鮮便など水分量が多い湿った場所を好みますが、三齢幼虫はしばらくすると摂食を止め、乾燥した場所に移動してさなぎになります。

環境面からの効果的な対策

 「害虫駆除」と聞くと、殺虫剤の散布をイメージするかもしれませんが、それ以前に害虫の発生源となりうる糞便、飼料などを適切に管理し、害虫が発生しにくい環境にすることが最も重要です。普段は水洗いをしないスクレーパーのブレードやエンド部分、ピットに付着した糞便を一度洗い流すことで、糞便中にいる卵を除去することができます。また、給水設備から水濡れをして床などにたまっている場合は、幼虫の発育場所となります。水濡れの原因となる箇所を修理したり、発生源となりうる場所の水分を除去したりするなど環境整備を行うことが害虫の発生を防ぎます。

殺虫剤の特徴をふまえて効果的に使用

 殺虫剤による害虫駆除は、①発生源(幼虫)対策、②誘因による成虫駆除、③散布による成虫駆除に分けることができます。目的に応じて、異なる種類の殺虫剤を適切に使用することが重要です。梅雨前であれば、まだ成虫が大量発生している段階ではないと思いますので、①の発生源対策を今から行うことで、夏場の大量発生を軽減することができます。IGR剤(昆虫成長調節剤)は、発生源対策に最も効果的で、幼虫が発育する場所に殺虫剤を散布することで成虫になる前に殺虫することができます。環境面からの対策とともに殺虫剤の特徴をふまえた上で対応することが重要です。

同カテゴリ最新記事