教えて!中研 養鶏

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梅雨前から始める夏場対策
夏場対策のおさらい

 今年も夏が近づいてきました。鶏舎内外の環境を整備し、暑熱対策の準備を考え始めた方も多いのではないでしょうか。対策としては、「鶏舎内の風速の確保」「早朝や夕方の給餌」「重曹の添加」といったものがあります。メジャーな対策ではありますが、酷暑時には明確に効果が出る方法ですので、ぜひ実践しましょう。

養鶏研究室

鶏舎内の風速の確保

 風速は気温とあわせて、体感温度を左右する重要な要因です。クーリングパッドは強力な設備ですが、汚れによって空冷、風速効果の両方を下げてしまいます。クーリングパッドは気化熱を利用していますので、気温自体を下げられますが、汚れにより空冷効果が2~3℃低下するといわれています。また、パッド部分は消耗品ですので、掃除しても変形や目詰まりが解消されずに十分な風速が確保できない場合は、交換が必要になります。5年使用したものを交換した結果、風速が1m/秒以上改善した事例もあります。気温32℃における、風速と体感温度の関係を図1に示しましたが、風速1m/秒の違いが鶏の体感温度を大きく左右することが分かります。掃除や点検を真夏に行うのは労力もかかりますし、カビや汚れも落ちづらくなりますので、梅雨前に一度掃除や点検を行いましょう。

早朝、夕方に給餌を行う効果

 鶏が飼料を摂取してから3~5時間ほど経つと、飼料の消化にともなう発熱が盛んに行われるようになります。日中は鶏舎温度も上がっていきますので、気温の上昇と体温の上昇が重なると、鶏への暑熱ストレスの影響がますます強まり、ひどい場合には熱死が起こります。日中の給餌を控え、比較的涼しい早朝や夕方にしっかり食べさせることにより、暑熱ストレスを最小限に抑えることができます。

重曹の活用

 鶏は呼吸によって放熱を行うため、暑熱環境下では、呼吸数が増えます。これにより、体内の重炭酸イオン(HCO3-)がCO2として過剰に放出され、血中のpHがアルカリ性に傾くため、卵殻形成に重要なカルシウム(Ca)が利用されにくくなります。その結果、産卵率の低下や卵殻質の悪化が見られるようになります。失われたHCO3-を補うためには、重曹(NaHCO3)を飲水もしくは飼料添加により給与することが効果的です(図2)。

 暑さの影響を最小限に抑えるためにも、今回紹介した「3つの対策」のような、基本的な暑熱対策をしっかり行うことが重要です。

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