「冬場を迎えるにあたって」
冬場対策:養鶏場における寒冷環境下での注意点と対策

2022.10

 冬の寒さは、鶏舎環境及び鶏体に大きな影響を与える要因の1つであり、対策が欠かせません。そこで今回は、寒い時期に注意すべき点について紹介します。

養鶏研究室

温度と風速の影響

 鶏は鶏舎内の温度のほか、風による体感温度の低下の刺激を受けます。例えば、風速1m/秒の風が鶏に与える影響として、産卵期において体感温度が3℃低下すると報告されています。風を与えることは、夏場の暑熱対策において重要ですが、冬場では逆に鶏にとって大きなストレスとなります。そのため、鶏舎内の温度だけでなく、体感温度も考慮した空調管理が必要となります。

寒冷環境下での鶏の生理反応と生産性への影響

 寒冷環境下では、鶏の心拍数が増加し、呼吸数が低下するため、心臓、循環器に対して負荷がかかります。また、風速が0.2m/秒以上の時はアドレナリンの分泌が活発になることも報告されており、風速の程度によっては鶏の生産性や抗病性にとって、マイナスの効果が生じます。

 更に体温を維持するために必要なエネルギーが増加することで食下量が増加し、それにともなって飼料効率が悪化して、生産コストの増加にもつながります。採卵鶏では、食下量の増加による卵重の増加も問題となり、3Lサイズ以上の卵の発生率増加や、卵殻強度の低下にともなう破卵率の増加が起こり、収益を悪化させる要因となります。

換気

 冬場は温度維持を重視するため換気不良に陥りやすく、換気量に注意が必要です。換気には①熱、湿度の除去、②有毒ガスの除去、③ホコリの除去、④酸素の供給の4つの役割があります。換気が不十分な場合、採卵鶏では呼吸器や産卵への悪影響、ブロイラーでは床湿りや発育阻害、循環器への負担増加による腹水症などの発生にもつながるため、適切な換気(表1)を行うことが求められます。

消毒効果

 消毒薬の種類によっては、冬場の低温が原因で除菌効果が低下することが確認されています(表2)。消毒薬の効力は「温度」、「濃度」、「作用時間」で決まるため、効力を高めるためには、「温度を高める」、「濃度を濃くする」、「作用時間をのばす」といった対処が必要になります。
 特に近年は、高病原性鳥インフルエンザ(HPAI)が猛威を振るっており、これらのポイントで対処が可能な場合は改善を行い、より高い意識で防疫を行う必要があります。
 このように、冬場の寒冷環境下ならではの注意が必要な点が多々あります。お困りの場合は、お近くの飼料販売窓口にご相談いただければ幸いです。

この記事をシェアする

  • LINEで送る
  • Facebookでシェアする

おすすめ関連記事

他の記事を探す

蓄種別
テーマ別