マーケット情勢

情報マーケット情勢
各畜種の家計消費量・家計消費金額は総務省家計調査より
マーケット情勢(全農畜産総合対策部・10月まとめ)

豚肉

 8月の全国肉豚出荷頭数は、1,321千頭(前年比99.7%)と前年並み。地域別出荷頭数を前年比で見ると、北海道107.1%、東北103.2%、関東97.8%、北陸甲信越104.8%、東海102.5%、近畿106.6%、中四国96.0%、九州・沖縄96.8%だった。全国と畜頭数の9月の速報値は、1,290千頭(同92.9%)と前年を下回る見込み。

 8月の輸入通関実績は、豚肉全体で86.6千t(前年比110.7%、前月比104.2%)と前年を上回った。内訳は、チルドが33.9千t(同99.4%、同109.6%)、フローズンは52.7千t(同119.4%、同101.0%)となった。国別で見ると、チルドではメキシコが増加し、フローズンでは価格優位性のあるスペインに加え、メキシコ、米国、カナダからの輸入量が増加した。

 総務省発表の8月度家計調査報告によると、全国2人以上の1世帯あたり豚肉購入数量は1,797g(前年比94.8%)、支出金額が2,691円(同99.5%)となり、購入量は前年を下回ったが、金額は前年並みだった(※2019年度比:購入量110.2%、金額115.2%)。

 9月の東京市場枝肉卸売価格(速報値)は、643円/kg(前年比107.2%)と前年を上回った。学校給食の再開やシルバーウィーク向けなどの需要の高まりに対して、気温の低下などから肉豚の生育が順調に進んだことで出荷頭数が増加したため、もち合いの展開となった。

 10月の相場は、出荷頭数の増加が期待できる一方で、3連休や「全国旅行支援」による需要の増加によっては、需給が緩まない可能性があり、弱含みからもち合いを見込む。

【令和4年11月の相場予想】※東京市場 上物・税込600円

牛肉

 8月の成牛と畜頭数は、85.4千頭(前年比104.7%)と前年を上回った。内訳を見ると、和牛36.4千頭(同102.3%)と交雑牛19.6千頭(同110.6%)は前年を上回ったが、乳牛は11.9千頭(同92.6%)と前年を下回った。

 8月の輸入通関実績は、全体で53.5千t(前年比99.5%、前月比102.9%)と前年並み。内訳ではチルド19.6千t(同83.8%、同100.2%)、フローズン34.0千t(同111.6%、同104.5%)となった。輸入相手国別では、米国と豪州は為替の影響から高値が継続しているため減少した。また、フローズンは、荷余り感があったことから一時的に日本向けが増加した。

 総務省発表の8月度家計調査報告によると、全国2人以上の1世帯あたり牛肉購入量は508g(前年比84.2%)、支出金額が1,958円(同92.7%)となり、購入量・支出金額ともに前年同月を下回った(※2019年度同月比:購入量91.0%、金額105.7%)。

 9月の東京市場枝肉卸売価格(速報値)は、和牛去勢A5が2,552円(前年比96.2%)、A4が2,273円(同99.0%)、交雑牛B3が1,492円(同99.9%)、乳牛去勢B2が949円(同95.6%)だった。相次ぐ食品の値上がりから量販店等での荷動きが弱いことに加え、シルバーウィークが天候に恵まれなかったことなどが要因と考えられる。

 10月の枝肉相場は、末端消費は伸び悩んでいるものの、「全国旅行支援」の開始による宿や外食需要増加に加え、輸入牛肉の高値推移により国産牛へのシフトが一定数見込まれることなどから、和牛は強含み、交雑牛はもち合いから強含みで推移する見通し。

【令和4年11月の相場予想】※東京市場 税込

◎和牛去勢A4:2,400円 ◎交雑去勢B3:1,500円 ◎乳牛去勢B2:900円

鶏卵

 8月の全国の餌付け羽数は8,211千羽(前年比104.2%)。東西別の実績では前年比をともに上回った。東日本は101.2%となり、特に北海道エリアで167.6%と大幅に増加した。西日本も107.8%と上回り、中国エリアにおいて125.1%と増加した。関東エリア以外は、前年を上回る推移となった。

 8月の鶏卵の1人あたり家計消費量は877g(前年比95.8%、前々年比94.2%)となっている。コロナ禍前の令和元年比では100.8%となっており、巣ごもり需要は緩和されているものと見られる。

 9月の東京相場の月間平均は、Mサイズ223円(前年比+10円、前月比+19円)。需要面は、大手ファーストフードチェーンのプロモーションにともない、中玉を中心に強い引き合いが見られた。また、問屋筋でも学校給食の再開や行楽需要から引き合いが見られ、量販筋も定番・特売ともに堅調な荷動きだった。これらの状況から相場は上伸の展開となった。

 今後、供給面は本格的な需要期に向けて生産調整明けの産み出しが始まり、稼働羽数が増加していく予想。しかし、一部では生産抑制の動きが見られ、生産動向を注視する必要がある。需要面では、気温の低下とともに本格的な季節需要の盛り上がりが予想され、「全国旅行支援」の開始やインバウンド需要の回復などにも期待がかかることから、相場展開は強含みと予測する。

鶏肉

 生産・処理動向調査によると、8月の推計実績は処理羽数59,452千羽(前年比102.6%)・処理重量174.2千t(同101.5%)となった。前月時点の計画値より処理羽数は0.4%、処理重量は0.7%下方修正された。育生は、暑さの影響で食餌量が落ち、増体の鈍りがあったと考えられるものの、おおむね順調だった。

 財務省が9月29日に公表した貿易統計によると、8月の鶏肉(原料肉)の輸入量は前月から1.8千t増の47.4千t(前年比0.4千t増)。国別ではブラジルが1.5千t増、タイが0.2千t増となっている。8月実績は前月輸入量より増加し、9月以降も増加が予想される一方、価格は徐々に下げ基調となっている。

 8月の推計期末在庫は国産28.5千t(前年比81.7%・前月差-0.4千t)、輸入品121.2千t(同108.8%・同+0.1千t)と合計で149.7千t(同102.3%・同-0.3千t)となった。

 9月の月平均相場は、もも肉667円/kg(前月差+18円)・むね肉364円/kg(同+10円)、正肉合計で1,031円/2kgと前月を28円、前年同月を135円上回った。もも肉相場は月初656円、月末は683円となった(昨年は月初571円、月末587円で16円の上げ)。昨年の相場より大幅に上回り、前月に続き正肉価格が1,000円を超えた。

 10月の生産量は、前年より若干下回る計画。需要面では、外食産業が回復傾向にある一方、輸入品の高騰によって一部で国産への切り替えが見られ、国産鶏肉の需給はタイトな状況が続き、価格も高水準で推移していく見通し。もも肉相場はやや上げの月平均680円、むね肉相場は月平均370円と予測する。

【令和4年11月の相場予想】 ◎もも肉:690円 ◎むね肉:380円

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