※「中研」はJA全農飼料畜産中央研究所の略称です。

 酪農・畜産経営において、長時間労働やその負荷は大きな課題となっています。そのため近年では、労働の低減と効率化のための技術が次々と登場しています。今回は当室で取り組んだ、ICT(情報通信技術)機器と監視カメラを活用した省力化事例の一部を紹介します。

笠間乳肉牛研究室

起立困難な牛への事例

 和牛の肥育後期や妊娠牛において、牛が横になった状態から起き上がれなくなることがあります。起立困難な状態のまま放置すると、ルーメン内にガスが貯留し鼓腸症となり、最悪の場合は死亡することもあります。そのため、起立困難な牛を早期発見することが重要です。起立困難な牛を発見するためには見回りが必要ですが、遠隔地にある農場や夜間の見回りは生産者にとって重い負担となります。そこで当室では、省力化として起立困難の検知機能がついた機器と監視カメラを用いています。今回はその取り組みを紹介します。

 起立困難の検知機能がついた機器(当室ではファームノートカラーを使用)は、牛の首に装着した装置がリアルタイムに牛の反芻(はんすう)・活動・休憩データなどを収集します。そして人工知能(AI)が牛の起立困難状態を判定し、スマートフォンやタブレットなどに通知がくるシステムです。そのため牛舎から離れた自宅や事務所からも、起立困難な牛を早期発見することができます。

監視カメラで早期発見

写真1 起立困難な牛(カメラ映像)
写真2 夜間のカメラ映像

 ところが当室で使用していると、個体によっては首の装置がずれる、外れていたなどで誤報が発生する場合がありました。特に深夜の時間帯に通知がきて、急いで駆けつけた時に、牛が何食わぬ顔で立っていたら安堵と同時に、無駄足であったとガッカリするものです。もしカメラがあれば、牛が本当に起き上がれない状況なのかを即座に確認し、緊急性や人手が必要なのかをその場である程度判断することができます(写真1)。また、暗視モードや可動+ズーム機能があるタイプのカメラであれば、夜間でも自由に見たい映像に調整できます(写真2)。

 更に録画機能を搭載しているカメラの場合、起立困難になった原因を確認することができます。

写真3 敷料の山にはまって起立が困難な牛

 当室では、敷料のオガクズを交換したその日に起立困難が発生しました。カメラで当時の状況を確認すると、敷料交換後にオガクズを平らにならしていませんでした。そのため横臥(おうが)時にオガクズの山の傾斜に牛体がはまってしまい、体の自由が利かず、起立困難が発生したと考えられます(写真3)。

 そこで敷料交換時は搬入するオガクズを適正量にし、ローダーなどの重機で踏みならして、牛床の高低が生じにくいようにして発生リスクを減らしています。このように起立困難の検知機能がついた機器とカメラを合わせることで、起立困難の牛を早期発見できるとともに、発生対策を講じることができます。

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