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全農畜産サービス株式会社
新たな高病原性鳥インフルエンザ対策

 全国各地で猛威を振るった高病原性鳥インフルエンザ(以下、鳥インフルエンザ)。鶏卵の供給不足を引き起こし、生産者にとどまらず小売店や消費者にまで大きな影響が出ました。生産者はウイルスの侵入を防止するため日々対策を講じていますが、近年はウインドウレス鶏舎や大規模生産者からの発生件数が増えています。

 今回は、「従来の対策と違う他の手立てが必要ではないか」という考えのもと、鶏舎の新しい防疫対策について弊社の施工事例とともにご提案します。

事例1 鶏舎へのフィルター設置

POINT 比較的抵抗の小さい「プレフィルター」を鶏舎の入気口に設置

 生産者の方々から伺った鳥インフルエンザの発生状況の中には、ウインドウレス鶏舎に換気扇で外気を導入する入気口付近の鶏の感染報告のほか、ウイルスが入気に乗って鶏舎へ侵入した可能性を示唆する意見がありました。

 そこで、鶏舎の入気口から入る外気の衛生対策ができないかと考えたところ、弊社が10年前からお客さまの鶏舎でワクチンの培養に使う卵を生産する際に設置しているフィルターを思いつきました。

 表1は大気中の粒子の大きさとフィルターとの関係です。

 表の上段はウイルスや花粉などの粒子の大きさ、下段は各種フィルターの性能を表しています。

 ウイルス対策に使われるHEPAフィルターは直径0.3μmの粒子を99.97%捕集する高性能のフィルターで、クリーンルームや空気清浄機などにも使用されています。ウイルスはHEPAフィルターを通ることができますが、実際は折りたたまれたフィルターを通り抜けるうちに静電気や重力などの作用でほとんどがフィルターにとらえられる仕組みです。

 しかしこのHEPAフィルターを一般的な鶏舎に設置することはできません。なぜならHEPAフィルターは目が細かくてウイルスの侵入を防ぐ一方、鶏舎の換気扇は空気抵抗に弱いため、空気が通りにくく換気不良になるからです。

 このような理由から、比較的空気抵抗の小さい「プレフィルター」を鶏舎の入気口に設置することを提案します。プレフィルターは粗塵やホコリ、虫などを取り除くためのフィルターです。プレフィルターでは目の細かさが足りずウイルス単体を除去することはできませんが、鳥インフルエンザウイルスは野鳥の糞から生じたホコリや昆虫など大きなものに付着して鶏舎に侵入すると考えられるため、これらを取り除けるプレフィルターは効果が期待できます。

 写真1、2は、ワクチン卵鶏舎の下がり壁と妻壁(建物の短辺側の壁)側開口部にプレフィルターを設置した直後と使用後で比較したものです。フィルターが汚れています。「これだけの塵が鶏舎の中に入ってきていたのか」と、筆者も正直驚きました。

 プレフィルターでも畜舎用換気扇には空気抵抗が大きく、換気量は落ちます。しかし、鳥インフルエンザの警戒期間である冬は夏に比べて換気量が少ないため、換気量に対する“適正なフィルター面積”を考慮すればフィルターの設置は十分可能です。なお、「交換時のメンテナンス性」が極めて重要ですので設置方法には留意してください。弊社も設置枠や交換作業などは、さまざまな工夫をしています。

写真1.下がり壁の施工事例

写真2.妻壁側開口部の施工事例

事例2 過酢酸製剤による除菌

POINT 目的に応じた濃度や利用法で「過酢酸製剤」を使用

 弊社が運営する種豚場では、日々「畜舎へ入る前の足元」「作業着の表面」「車両(特にタイヤ周り)」を除菌するため、目的に応じた濃度や利用法で「過酢酸製剤」を使用しています。

 過酢酸製剤は、氷温での有機物存在下における強い除菌力に加え、保存安定性に優れ、残留性がなく、人体への安全性が高いことが特徴です。国内では、人工透析装置や内視鏡洗浄などの医療現場や、製薬会社の空間噴霧、飲料用ペットボトル洗浄など、高い衛生レベルが求められる場面で利用されています。また、食肉、野菜、果実の表面除菌用として食品添加物にも認可されています。

 表2は、消毒薬の種類と対象微生物への有効性をまとめたものです。過酢酸製剤は、過酸化水素と酢酸から過酢酸を再生する濃度復元作用があり、効果が持続することが最大の特徴です。過酢酸製剤は、その作用によりエンベロープの無いウイルスや芽胞菌にも効果を発揮し、汚れや有機物に対し極めて効果と持続性が高いことがうかがえます。

 また、表3はPEDウイルス(鳥インフルエンザウイルスと同様のエンベロープウイルス)に対する効果の比較です。過酢酸製剤は、常温のみならず低温時においても高い効果を発揮しています。

さいごに

 万一、鳥インフルエンザが発生してしまうと、ヒナの再導入と経営の正常化には長い年月(弊社試算では3年~5年)を要します。有効な鳥インフルエンザ対策は、今回ご提案しました取り組みのほかにもさまざまな新しい取り組みが必要になると思います。

 今回ご紹介しました弊社の提案が、皆さまの日々の防疫対策の立案の一助になりましたら幸いです。

問い合わせ先

全農畜産サービス株式会社
施設・素ひな事業部
TEL:03-5245-4872

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