教えて!中研 養牛

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「生産性向上のための技術紹介」
肉牛 肥育牛の暑熱期における飼養管理

 夏場の暑さは牛にも多大なダメージを与えます。今回は、暑熱期における肥育牛のビタミンA(以下、VA)コントロールと飲水についてご紹介します。 

笠間乳肉牛研究室

暑熱が肥育牛に及ぼす影響

 肉牛は乳牛と比較して“暑さに強い”イメージがあるかもしれませんが、実際には肥育牛の暑熱ストレスの影響は小さくありません。これは、肥育牛は体の大きさに対して体表面積が小さく、体内に蓄積された熱を放出する能力が低いことが原因として挙げられます。暑熱ストレスを受けた肉牛は採食量が低下し、生理機能にも悪影響を及ぼし、増体が悪くなる可能性が高くなります。また、暑熱ストレスによってVA消費量も多くなる可能性があることから、より一層VAが欠乏しないよう注意する必要があります。

 図1は暑熱期(7〜8月、日平均気温: 27.8℃、日平均湿度:75.6%、日平均THI(温湿度指数):78.7)と通常期(5〜6月、日平均気温:20.6℃、日平均湿度:74.3%、平均THI:67.4) において、肥育牛(去勢、平均月齢約19カ月)の血中VA濃度の推移を比較したグラフです。飼料は稲わらを1.5kg/日、VA製剤の含まれていない市販の配合飼料を9~9.5kg/日給与しています。通常期において、血中VA濃度が7.1IU/dL低下したのに対し、暑熱期には同じ期間で22.1IU/dL低下しました。暑熱期には飼料摂取量の低下も見られますが、VA効力の低い飼料を給与しているので、飼料摂取による影響はほとんどありません(いずれの時期も飼料からのVA摂取量は約1,900IU/日)。

 このことから、暑熱期には暑熱ストレスによってVAの消耗が著しくなっていると考えられました。そのため、夏場でも攻めたVAコントロールを実施している場合には、餌の食べ具合や牛の行動を観察し牛の状態を把握すること、定期的に血液検査を実施し、血中VA濃度を把握することが重要です。そのうえで、血中VA濃度が30IU/dLを下回らないように、早いうちから少しずつ補給することでVA欠乏を防ぎましょう。

肥育牛における夏場の飲水の重要性

 水は牛にとって、消化・代謝等の生命活動に欠かせません。飲水が制限されると、飼料摂取量の低下の原因となります。夏場になると人と同じく飲水量が増加するため、いつでも飲水ができる状態にしておく必要があります。

 肥育牛を用いた当室の試験では、水槽とウォーターカップで比較したところ、肥育通期において水槽区で飲水量が20%多く、飼料摂取量が2%増加、出荷時の体重が16%向上しました(表1)。乳牛では飲水量が25%制限された状況下で、制限前と比べ飼料摂取量が12%低下、乳量が10%低下した報告もあります(Burgos et al., 2001)。子牛でも飲水できる環境下では、飲水できない環境下よりもスターターの摂取量が23%多くなっていました(大森ら, 2015)。以上から、子牛から成牛まで飲水量の確保が生産性を低下させないために重要です。

夏場の飲水量の目安

 表2は肥育牛の飲水量を示しています。夏場には肥育牛で1日50L以上飲むとされているため、近年の大型化が進んだ牛ではより多く飲水していると考えられます。飲水には、発汗により失った水分を補うと同時に、体の中を冷却して体温を下げる作用もあります。そのため、飲水の妨げにならないよう、水飲み場を清潔に保つ必要があります。以上から、餌食いを悪くさせないためにも、牛にストレスがかからないような飼養管理にして熱い夏場を乗り切りましょう。

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