株式会社島根ポーク×JA西日本くみあい飼料株式会社×JA全農
主食のように“毎日食べられる豚肉” 過酢酸活用し、衛生管理徹底

2023.10

 島根県浜田市の島根ポークは、“主食のように毎日食べられる豚肉”を追求し、独自のブランド豚を確立した。JA西日本くみあい飼料と長年改良を重ねた独自飼料と厳しい衛生管理でおいしい豚肉を生産し、ハム工房や、とんかつなどを提供するレストランも経営。豚ぷん堆肥で露地野菜や梨を生産する循環型農業にも取り組み、時代を先取りした経営を実践している。

島根ポーク金城農場

島根ポーク

しゃぶしゃぶ
とんかつ
食品添加物の使用を抑えた
ウインナーやベーコン
レストランケンボロー名物
「T-BONE STEAK」

Data

株式会社島根ポーク

本社

島根県浜田市金城町

代表

永野 雅彦 社長

従業員数

50人

経営内容

豚、露地野菜、梨の生産に加え、「ケンボロー手づくりハム工房」と「レストランケンボロー」を経営

農場

  • SPC金城農場「芙蓉ポーク」とSPC旭農場「島根ポーク」
    合計 母豚1200頭、年間出荷頭数3万2000頭
    (株式会社広島ポーク(広島県三次市)「お米(マイ)・ポーク(お〜まい・ポーク)」
    母豚1200頭、年間出荷頭数3万2000頭)
  • ケンボロー農園(露地野菜)1ha
  • ア・クール梨園 5.5ha
沿革
  • 1972年 父が経営していた母豚10頭を引継ぎ、逐次規模を拡大
  • 1977年 国の事業を活用し、母豚250頭の一貫経営農場としてスタート、法人化
  • 1980年 日本で初めてハイブリッド豚「ケンボロー」を導入
  • 1987年 旭農場を開設
  • 1995年 「ア・クール梨園」開園
  • 1999年 「レストランケンボロー」を開業
  • 2000年 「ケンボロー手作りハム工房」を開業
  • 2012年 株式会社広島ポークを設立

母豚10頭からのスタート 規模拡大し、経営多角化

 永野社長は50年ほど前の1972年に就農し、父の養豚経営(母豚10頭)を引き継いだ。徐々に規模を拡大し、77年には国の事業を活用して母豚250頭規模の一貫経営農場として新たなスタートを切り、法人化。80年には日本で初めてハイブリット豚「ケンボロー」を導入した。
 「餌が8割、管理が2割。味は手品ができず、与えたものが肉になっていく」と考える永野社長。豚肉のおいしさを最大限引き出すため、JA西日本くみあい飼料と長年、餌の改良を重ねてきた。その結果できあがったのが、脂の質と量のバランスが良く、深いこくがある上位ブランド「芙蓉ポーク」と、赤身重視でヘルシーな「島根ポーク」だ。量販店の一般的な価格よりは少し高いが、消費者から「脂まで旨みがあっておいしい」「あっさりと食べられる」などと評価され、人気を確立している。


 飼養頭数を徐々に拡大するとともに、地域や従業員のために経営を多角化させてきた。95年には地域で新たに始まった赤梨団地に参加し、完熟堆肥を使った梨栽培をスタート。現在は5.5haで9品種を栽培する他、1haで露地野菜を減農薬栽培し、レストランで使用したり販売したりしている。堆肥にもこだわり、自社農場で使用するために開発した「とんとん1号」は、近隣農家にも販売し、さまざまな作物の土づくりに利用されている。

毎日の空間消毒で快適

 従業員が休日においしい食事が食べられる場所を増やそうと、99年には「レストランケンボロー」を立ち上げた。さらに、2000年には「ケンボロー手作りハム工房」を設立。肉そのもののおいしさを引き出すため、塩分や発色剤、アミノ酸などを可能な限り使わずに加工する。ふるさと納税の返礼品にも採用されており、多くのリピーターがついている。

永野雅彦社長
「豚相手に手品はできない、やった通りの結果しか
出ない」(永野社長)

 JA全農ひろしまからの相談を受け、12年には広島の養豚場を引き取って、株式会社広島ポークを立ち上げた。島根ポークで培った衛生管理技術を活かし、広島県で初めて「SPF豚農場」の認証を取得。19年には日本SPF豚協会の生産成績優秀農場表彰の総合生産成績部門で、北海道以外の農場としては初めて最優秀CM農場に選ばれ、21年まで3年連続で選出された。地域農業にも貢献しようと地元の飼料用米を与え、「お米(マイ)・ポーク(お~まい・ポーク)」としてブランド化している。

Information

プロフェッショナルポークレストランケンボロー

とんかつやT-BONE STEAK、しゃぶしゃぶなど、さまざまな豚肉料理が食べられます!

住所:島根県浜田市黒川町4191 末広ビル1階
定休日:火曜日
電話:0855-24-9909

おしゃれな外観
ケンボロー手作りハム工房

発色剤や食品添加物の使用を可能な限り抑えた、「本格粗挽きウインナー」やベーコンが人気!

住所:島根県浜田市金城町久佐ハ47-5
電話:0855-42-2364

豚にも人にも優しく 品質の差なくし、経営改善

 永野社長は、豚にも働く人にも優しい養豚を目指してきた。日本庭園風の農場はきれいに整理整頓され、豚舎にはクラシック音楽がゆったりと流れる。「環境をよくすることで、従業員が良い仕事ができる」と考え、ノルマはないが、自身は生産成績などの数字を毎日確認。餌や資材なども常に新しい商品を導入して試験し、改善を図っている。現時点でも出荷する豚の品質差は他農場に比べて少ないが、「さらに偏差をなくし、お客さまによりおいしい豚肉を提供するとともに、経営を改善していきたい」と抱負を語る永野社長。今後も全農や西日本くみあい飼料とともにデータに基づく改善を重ね、豚肉のおいしさの追求を続けていく。

農場HACCPに基づく 厳しい衛生管理実践

 島根ポークの特徴の一つが、農場HACCPに基づく防疫対策の徹底だ。入場できる人や車によって敷地を4エリアに分け、それぞれに厳しい衛生管理体制を設けている。さらに、豚舎に入る際のシャワーイン・シャワーアウト、農場内での専用衣類の着用、豚舎ごとの専用長靴の使用、豚のアウト後の洗浄・消毒などに加え、毎日欠かさず空間消毒も実施し、妥協なく対策を徹底、継続している。
 餌を運ぶバルク車も衛生管理区域に入れず、区域外から中継拠点に受け入れている。そのバルク車でさえ、タイヤまわりはもちろん、運転席のハンドルやフットペダルも念入りに消毒するほど。社員だけでなく取引業者にまで意識が浸透している。全農クリニック西日本分室の山口遼作獣医師も「厳しい衛生管理とデータに基づく実践が、島根ポークのおいしい豚肉づくりを下支えしている」と太鼓判を押す。

除菌に役立つ過酢酸「ビネパワー」活用

運転席もしっかり消毒
ドライバーがタイヤを入念に消毒
衛生管理区域外からタンクに飼料を納入するバルク車

ビネパワーを毎日使用 強い除菌力と高い安全性

 そんな厳しい衛生管理の一助となっているのが、科学飼料研究所が販売する、過酢酸を使った除菌に役立つ商品「ビネパワー」だ。金城農場では2年ほど前から、踏み込み消毒槽や豚舎内の空間消毒、器具洗浄など、毎日幅広く使用している。
 「ビネパワー」は、食品添加物としても使用が認められている。強い除菌力に加え、保存安定性に優れ、残留性がなく、使用者への安全性が高いのが特長だ。国内では医療現場や製薬会社の空間噴霧、飲料用ペットボトル洗浄など高い衛生レベルが求められる場面で利用されてきた。また、米国では食肉や野菜などに広く使用されてきており、日本でも2016年に食品の表面殺菌の用途で食品添加物としての使用が認められた。残留性がなく、効果と安全性が評価されている。全農グループは17年から、畜産現場の衛生・生産性向上等に貢献できる有用な除菌剤として推進している。
 島根ポークでは、2年ほど前に西日本くみあい飼料から勧められ、「安全性が科学的に実証されており、有効範囲も広く安定している」(永野社長)ことから使用を決めた。現在は月にドラム缶1本(220kg)を使用している。過酢酸は、600倍に薄めて使うため臭いも気にならず、原液の取り扱いに注意さえすれば使用者にとっても使いやすいという。効果が実証できたため、現在は金城農場に加え、旭農場と広島ポークの農場でも使用している。

ビネパワーとは?

  • 輸入・販売:エンビロテックジャパン株式会社
    (全農とエンビロテックケミカルサービス社、小津産業との合弁会社)
  • 供給:株式会社科学飼料研究所
  • 成分:過酢酸15%、酢酸40%、過酸化水素5.5%、安定剤1%未満
  • 使用方法:600倍に希釈して使用

ここがポイント!

  • 有機物存在下でも失活しづらく、強い除菌力を発揮
  • 温度やpHの影響を受けづらく、幅広い状況で利用可能
  • 残留性が低く、環境への負荷が少ない

問い合わせ先

株式会社科学飼料研究所 動薬部販売企画課
電話:027-347-3223

ビネパワー(220kg)
クラシック音楽が流れるきれいな豚舎は快適!

島根ポーク金城農場での使用場面

まずは希釈
原液を600倍に希釈して使用
1 豚舎出入口の踏み込み消毒槽
3 器具洗浄(写真は分娩舎の給水器)
2 豚舎内での空間消毒
4 オールアウト後の豚舎の清浄
永野社長

永野社長は「効果は目に見えるものではないが、他の除菌剤と比べても遜色ない一方、安全性は高い。外は美しく、中は衛生的な農場を目指し、引き続きビネパワーを使用していきたい」と評価する。

登尾操さん

現場で実際に使用する金城農場の登尾操さんも、「食品添加物としても認められているため、お客さまにも安全性をお約束でき、安心して使用できる」とビネパワーのメリットを話す。

Comment

西日本くみあい飼料は、飼料の配合設計の定期的な改良に加え、クリニック検査や衛生検査の実施による衛生状態のモニタリングなど、さまざまな面で連携している。営業1課の中村暢寿係長は島根ポークの優れた点について、「外から病原体を持ち込まない“防疫”対策と、病原体を拡散させない“衛生”対策が徹底されている」と話す。

ビネパワーについて意見交換する登尾さん(左)と
山口さん(中)、中村さん(右)
もっと知りたい方はこちら

島根ポークホームページ

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