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堆肥と化学肥料を組み合わせた新製品~エコマスターシリーズ~の取り組み

 化成肥料の原料は多くを輸入に頼っています。ロシアのウクライナ侵攻による供給量の減少や、中国の輸出引き締め、為替の円安、製造コストの高騰などにより化成肥料の価格は以前と比べて高騰しています。また、農林水産省は「みどりの食料システム戦略」で、化学肥料を30%削減する目標を掲げています。このような背景を受け、近年家畜の排泄物などを原料にした堆肥を活用する取り組みが積極的に進められています。
 今回は法律の改正により始まった、堆肥と化学肥料を混ぜた製品の開発をご紹介します。

【JA全農 畜産生産部】

株式会社アグリテクノ 鶏ふんの販路拡大が急務縦型コンポ発酵機を導入

 株式会社アグリテクノ(福島県伊達市)は福島県を中心に7つの養鶏農場を運営し、約170万羽の採卵鶏を飼育しています。鶏卵だけではなくグループ企業で鶏卵加工品や食肉加工品、飲料なども製造し、全国チェーンのコンビニにも商品を供給する多角経営を行っています。

 同社は鶏卵の販売力強化とともに鶏の飼育羽数を増やすうち、鶏糞の処理と、発酵鶏糞の販路拡大が急務となりました。そこで発酵処理能力が高い縦型コンポ発酵機を導入し、ここから出てくる発酵鶏糞を化学肥料と組み合わせ、全農が取り扱う肥料製品とする取り組みが始まりました。取り組みの仲介は、アグリテクノに配合飼料を供給するJA全農北日本くみあい飼料株式会社が行いました。

 縦型コンポストは発酵が早い反面、発酵鶏糞が粉状になるため散布時に飛散しやすく、やや使いにくい発酵鶏糞ができるのが課題でした。しかし化学肥料と組み合わせる場合は、粉状の方が混合しやすいことが分かりました。

 縦型コンポストから出てきた発酵鶏糞は水分が約30%あります。このまま化学肥料と混ぜると保管中に湿気で固まりやすくなるので、発酵槽に移して通気しながら追加の発酵を行い、水分を約20%まで落としてからふるいにかけ、固まりや異物を取り除いてから、肥料工場の片倉コープアグリ株式会社大越工場(福島県)にフレコンで出荷しています。

アグリテクノ本社(福島県伊達市)
発酵を終え、水分調整を行った状態の発酵鶏糞
フレコンに詰められ、肥料工場への出荷を待つ発酵鶏糞

片倉コープアグリ株式会社 みどり戦略念頭に堆肥3割超 11月~県内で本格販売開始

 片倉コープアグリ株式会社は肥料事業を中核とする会社の中では国内最大級で、様々な化成肥料や有機入り配合肥料のほかに、飼料用のリン酸カルシウムなども幅広く取り扱っています。アグリテクノと同じ福島県内にある大越工場では、アグリテクノから出荷された鶏糞堆肥と化学肥料を原料とした新製品「エコマスター」シリーズの製造を行っています。

 「エコマスター」は片倉コープアグリ株式会社の堆肥入り銘柄のシリーズの総称で、大越工場では鶏糞堆肥50%以上を含有する「園芸用823」、鶏糞堆肥30%以上を含有する「水稲一発555」と鶏糞堆肥40%以上を含有する「水稲077」の3製品があり、それぞれ地域の土壌成分や用途に合わせた成分と形状で開発されています。

 この3銘柄の開発にあたっては、全農福島県本部との協議を重ね、先述の「みどりの食料システム戦略」を念頭におき、化学肥料の使用量を30%削減するため、鶏糞堆肥を30%以上使用しているのが特徴です。さらに、メイン銘柄と想定される「エコマスター水稲一発555」では、追肥作業の省力化のため被覆原料が用いられますが、この被覆原料は従来の被覆肥料よりも被膜の崩壊性を高め、環境負荷に配慮した「Jコート」を採用しています。また、今後のさらなる利用拡大を目指して、製品の品質を向上させるため、鶏糞堆肥供給元のアグリテクノと協議を行い、夾雑物の除去などの課題に取り組んでいます。

 エコマスターの本格販売は2023年11月から、福島県内のJAにて開始されました。今後も「みどりの食料システム戦略」に取り組んでいく中で、堆肥を用いた土づくりの取り組みの重要性が増していくのは間違いありません。耕種農家と畜産農家が一丸となる取り組みにつながるよう、エコマスターの普及に取り組んでいます。

片倉コープアグリ東北支店 大越工場(福島県田村市)
エコマスター(左から「水稲一発555」、「園芸823」、「水稲077」)
(左手前から)片倉コープアグリの勝正樹事業所長、狩野睦東北支店長、平山宝東北支店副支店長と、
(右手前から)アグリテクノの伊藤幸二建設・設備部長、三品重利代表取締役社長、原田敏英生産管理部次長

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