NEWS 9月4日
第45回 九州管内系統和牛枝肉共励会

　九州・沖縄8県のJA系統農家が肥育技術を競う第45回九州管内系統和牛枝肉共励会が9月4日、福岡県太宰府市で開かれた。黒毛和種去勢125頭、黒毛和種雌9頭、褐毛和種去勢1頭の計135頭が出品され、個人最高賞の金賞（農林水産大臣賞）には鹿児島県指宿市の東川勝広さんが輝いた。団体優秀賞はJA鹿児島県経済連が6年連続で受賞、努力賞はJA全農ふくれんが受賞した。

　枝肉の平均重量は、黒毛和種去勢522.6kg、同雌501.3kgで、いずれも全国平均を上回った。歩留等級を決める測定値の平均は、去勢がロース芯面積83.6cm²、バラの厚さ8.9cm、皮下脂肪の厚さ2.3cm、歩留基準値77.7。雌がロース芯面積89.1cm²、バラの厚さ9.1cm、皮下脂肪の厚さ2.6cm、歩留基準値78.5となった。

　A等級比率は去勢が99.2%で、全国平均95.3%を上回った。雌は100%で、全国平均の93.1%を上回った。BMSNo.の平均は、去勢が10.3で、昨年に続き3年連続二桁を超えた。雌は10.1で昨年の9.8を上回った。BCSNo.は去勢3.5、雌3.6だった。

　審査委員長の公益社団法人日本食肉格付協会・芳野陽一郎専務理事は「黒毛和種去勢は、A等級が99.2%と見事な成績だった。歩留基準値も75以上が88%、80以上が17.6%（22頭）だった。肉質は褒める点しかない。BMSNo.の平均が10.3と昨年に続き3年連続で2桁を超えた。雌はA等級が100%。飼養管理は合格点。肉質も去勢同様優れている。褐毛和種は去勢と変わらぬ高品質牛だった。今後も更なる高みを目指し、高品質和牛の生産に取り組んでいくことを期待する」と講評した。審査の結果、金賞（農林水産大臣賞）は鹿児島県JAいぶすきの東川勝広さんが出品した「幸夫」（去勢・月齢29）が輝いた。父「幸紀雄」、母の父「安福久」、母の祖父「平茂勝」。枝肉重量582.9kg、ロース芯面積113cm²、バラの厚さ9.8cmで、歩留基準値は81.8。肉量が充実した個体で、外観的にも申し分のない枝肉。BMSNo.は最上級の12、BCSNo.は3。「脂肪交雑は細かく十分で満遍なく交雑し美しく、特に肉の光沢、脂肪の質に優れ、艶やかさを持っていて、食欲をそそる」と審査員満票で評価された。

　銀賞1席は鹿児島県JA鹿児島いずみ・田中良信さんの去勢（月齢29）、銀賞2席は熊本県JAあしきた・川口誠二さんの去勢（月齢28）、銀賞3席は鹿児島県JA鹿児島きもつき・新地正清さんの去勢（月齢28）が選ばれた。

「脂肪交雑は細かく十分で満遍なく交雑し美しい」と評価された金賞

金賞

東川勝広さん JAいぶすき

　金賞を受賞し、とてもうれしい。いい子牛に恵まれたおかげだ。感動しました。肥育専業になって5年ほど。いい牛を作りたい一心で、牛房は1頭あたりのスペースを広く取ってストレスをかけないよう、病気にならないよう大事に育ててきた。これからも飼育管理に注意を払い、牛の肥育を続けていきます。

銀賞1席

田中良信さん JA鹿児島いずみ

　栄えある賞をいただき光栄です。子牛の時は小ぶりだったが、期待通りに育ってくれた。餌は配合飼料に加え、粗飼料を多く与え、腹づくりをしてきた。牛房は4頭飼いで密にならないようにした結果、順調に育ってくれた。畜産情勢は厳しいですが、受賞を励みに、家族一体となって取り組んでいきます。

銀賞2席

川口誠二さん JAあしきた

　レベルの高い共励会で上位入賞でき、喜んでいる。餌槽の管理を小まめに行い、床のわらを早めに交換し、夏場は暑熱対策を施し、過ごしやすい環境を作ってきた。粗飼料や系統の配合飼料を与え、いい牛ができた。今春から息子も一緒に働くようになった。上位入賞を目指し一丸となって頑張っていきます。

銀賞3席

新地正清さん JA鹿児島きもつき

　信じられない、感激でいっぱいだ。肥育を始めて50年近く。系統の餌を一貫して使って受賞しただけに、うれしい。牛の母の祖父は｢安福久｣、父は｢安亀忠｣、鹿児島の畜産の将来を担う種牛だ。購入した時から期待していた。順調に育ったいい牛だった。これからも地元の優良な子牛を選び、大事に育てていきます。