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各畜種の家計消費量・家計消費金額は総務省家計調査より
マーケット情勢(全農畜産総合対策部・6月まとめ)

2022.06

豚肉

 4月の全国の肉豚出荷頭数は、1,385千頭(前年比95.6%)と前年を下回った。地域別出荷頭数を前年同月比で見ると、北海道97.9%、東北94.3%、関東93.5%、北陸甲信越96.0%、東海104.5%、近畿99.5%、中四国98.6%、九州・沖縄95.4%だった。
 全国と畜頭数の5月の速報値は、1,210千頭(前年比92.4 %)と前年を下回る見込み。稼働日数は昨年より1日少なく、1日あたりの平均と畜頭数は63,684頭(前年差-5,235頭/日)だった。
 4月の輸入通関実績は、豚肉全体で108.9千t(前年比110.3%、前月比151.4%)と前月を大きく上回り、チルドが37.3千t(同92.0%、同95.5%)、フローズンは71.6千t(同123.1%、同217.9%)となった。国別で見ると、チルドではメキシコが増加し、フローズンではEU域内でのASF(アフリカ豚熱)発生による相場の低迷や中国の輸入減少等からスペインの大幅な増加が目立った。
 総務省発表の3月期家計調査報告によると、全国2人以上の1世帯あたり豚肉購入数量は1,930g(前年比101.9%)、支出金額が2,672円(同101.2%)となり、購入量・金額ともに前年をやや上回った(※前々年同月比:購入量94.4%、金額94.8%)。
 5月の東京市場枝肉卸売価格(速報値)は、636円/kg(前年比125.7%)と前年を上回った。と畜頭数が減少したことに加え、輸入の供給が不安定で為替の影響から先高感が強くなったことで、国産への代替需要が高まり相場を押し上げた。6月の相場も肉豚出荷頭数が減少する見込みから、前年を上回る見通し。

【令和4年7月の相場予想】※東京市場 上物・税込630円

牛肉

 4月の成牛と畜頭数は、92.5千頭(前年比102.3%)と前年並みだった。内訳を見ると、和牛42.9千頭(同101.8%)、交雑牛21.4千頭(同108.5%)は前年を上回り、乳牛去勢12.2千頭(同92.2%)は前年を下回った。
 4月の輸入通関実績は、全体で61.6千t(前年比111.2%、前月比181.4%)と前年を上回り、内訳ではチルド20.5千t(同80.2%、同121.4%)、フローズン41.0千t(同138.0%、同241.1%)となった。米国や豪州での現地価格が高騰した影響を受け、前月に引き続き主要国からの輸入量は減少しているが、フローズンではメキシコやニュージーランドが増加している。
 総務省発表の3月度家計調査報告によると、全国2人以上の1世帯あたり牛肉購入量は532g(前年比97.3%)、支出金額が1,739円(同94.3%)となり、支出金額・購入量ともに前年同月を下回った(※前々年同月比:購入量88.7%、金額94.1%)。
 5月の東京市場枝肉卸売価格(速報値)は、和牛去勢A5が2,583円(前年比97.3%)、和牛去勢A4が2,356円(同98.4%)、交雑牛B3が1,600円(同95.6%)、乳牛去勢B2が1,096円(同101.9%)だった。GW直前の駆け込み需要の反動や食品全般の値上がり等から需要が鈍くなり、乳牛去勢以外の全品種で前年を下回る軟調な相場展開となった。
 6月の枝肉相場は、外食に動きはあるが、週末に需要が集中し回復が鈍いこと、父の日に向けた特定部位以外は荷余り感があること等から、和牛・交雑牛とも前月と同水準で推移する見通し。

【令和4年7月の相場予想】※東京市場 税込

◎和牛去勢A4:2,380円 ◎交雑去勢B3:1,600円 ◎乳牛去勢B2:1,100円

鶏卵

 4月の全国の餌付け羽数は8,269千羽(前年比91.6%)。東西別の前年比では、東日本・西日本ともに下回った。東日本は85.8%となり、特に北海道エリアで20.3%と大幅に減少。西日本も99.4%で、特に近畿エリア39.0%、四国エリア80.4%と減少した。一部で生産調整は継続されているものの、季節性の需要減によって産地在庫は適正からやや上向きとなっている。
 4月の鶏卵の一人あたり家計消費量は917g(前年比93.8%、前々年比88.5%)となった。前年までの巣ごもり需要からは落ち着いた形となり、コロナ以前に近い荷動きで推移した。現在、業界全体で値上げが相次いでおり、鶏卵の消費そのものが減退することは考えにくいものの、消費者の節約志向は根強いことから、今後の消費動向を注視する必要がある。
 5月の東京相場の月間平均は、Mサイズ219円(前年比-39円、前月比+8円)。供給面では、産地在庫は適正で推移した。需要面では、量販において定番・特売ともに落ち着いた荷動きとなった。業務・外食筋も大型連休明け以降、特需からの落ち着きが見られ、加工筋も割卵用・ボイル用の集荷意欲減退により、定期中心の取引となった。
 今後、供給面では生産コストの増加による生産意欲の減少や、気温上昇にともなう産卵率の低下などの恐れがある。梅雨時期に不需要期を迎えて荷余り感が進み、相場展開についても弱含みまたはもち合いとなる見通し。

鶏肉

 生産・処理動向調査によると、4月の推計実績は処理羽数62,296千羽(前年比100.5%)・処理重量188.0千t(同100.0%)となった。前月時点の計画値より処理羽数は0.4%、処理重量は1.4%下方修正となった。処理羽数は前年を僅かに上回ったものの、処理重量は同数値であり、前年と比べて増体が良くなかったことが伺える。
 財務省が5月27日に公表した貿易統計によると4月の鶏肉(原料肉)の輸入量は前月から1.5千t減の43.6千tで、国別ではブラジルが1.2千t減、タイが0.3千t減となっている。前年同月の実績に対しては6.6千t減となった。これは、ブラジル産のオファーが高騰していることにより輸入量を調整したことが原因と考えられる。4月実績より輸入量は増加しており、国内の外食・中食・総菜向け需要が強まっていることから増加傾向になった。
 4月の推計期末在庫は国産31.3千t(前年比99.0%・前月差-1.2千t)、輸入品116.3千t(同89.6%・同-8.9千t)で合計147.6千t(同91.5%・同-10.1千t)となった。
 5月の月平均相場は、もも肉624円/kg(前月差+2円)・むね肉321円/kg(同+6円)、正肉合計で945円/2kgと前月差で8円上回り、前年差では17円下回った。もも肉相場は月初、月末ともに623円と同価格であった(昨年は月初667円、月末642円の25円の下げ)。昨年の相場より低くなったが、これはコロナ禍による内食需要が少し落ち着いてきた影響だと考える。むね肉相場は、輸入品価格の高騰等から加工向けの引き合いが強くなっており、競合する輸入鶏肉の在庫水準が低いことも相まって、前月から6円の上げとなった。

【令和4年7月の相場予想】 ◎もも肉:605円 ◎むね肉:340円

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