NEWS 9月6~17日
全農養鶏セミナー2021 オンライン配信

2021.10

養鶏の生産性向上を目指して

 2021年9月6日から17日までの12日間、オンラインで「全農養鶏セミナー2021」を配信しました。生産性の向上を目指して、全国から合計204名が参加した養鶏セミナーの概要を紹介させていただきます。

1 鶏卵情勢

JA全農たまご(株)
東日本営業本部
第1営業部鶏卵課
中田純司課長
供給面

 2006年以降、年間鶏卵生産量は250万t前後で推移していましたが、2017年以降は260万tを超える生産量となるなど近年は増加傾向にあります。しかし、昨シーズンに発生した過去最大規模の鳥インフルエンザによる影響で、2021年の年間鶏卵生産量は250万tを下回る推定となっています。
 一方で、餌付羽数については2021年4月以降回復傾向にあり、今後は徐々に生産量も回復してくると考えられます。

需要面

 需要の約50%を占める家計消費量は2015年頃から緩やかに増加傾向にあります。2020年からは新型コロナウイルスの影響による巣ごもり需要で一段と高水準で推移しましたが、2021年6月の時点では、2019年よりも低水準となり、今後の動向に注視が必要です。一方で、需要の約30%にあたる業務用については、依然苦しい状況が続いています。

海外輸出

 輸出の大半を占める香港向けが堅調です。2020年は前年の2倍以上の輸出量となりました(図1)。香港では、日本産が他国産と比べて倍以上もの単価水準で販売されており、日本産鶏卵の価値が認められていることが分かります。
 現在の輸出量は国内生産のわずか0.7%ですが、香港以外の国も含めて更なる輸出拡大に取り組む価値はあると考えています。

図1. 殻付卵輸出量の推移

2 生産性向上のヒント

全農
飼料畜産中央研究所
養鶏研究室
小松稜弥研究員
破卵調査

 集卵ライン上の破卵発生個所を調査し、対策を講じることで農場の収益性を高めることができます。農場規模10万羽の場合、破卵率を1%改善することで年間200万円の収益改善ができる試算です。
 近年では卵型衝撃センサーを用いた調査事例が増えています。卵形のセンサーを集卵ライン上に流し、検知した衝撃の強さを数値化。タブレット上ですぐに確認することができます(図2)。エレベーターごとに繰り返しこの測定を行い、衝撃数値を比較することで、どのエレベーターで破卵が発生しやすいか確認できます。

鶏舎環境調査

 鶏にとって最適な環境を作り出すことで飼養成績を向上させることができます。同じ舎内でも、場所によって温度や風速、空気の質が異なるため、場所を変えて測定し、その測定結果の分析を基に、入気量・排気量の調整、カーテンの設置、除糞頻度の調整など、具体的な対策を講じます。ある養鶏場では舎内に送風機を設置することで、ケージの高さによる温度差を小さくすることができたという事例もあります。

図2. センサーが検知した衝撃を数値化

3 衛生管理トピックス

全農
家畜衛生研究所
研究開発室
中西誠研究員
全農
家畜衛生研究所
クリニック北日本分室
田口仰星獣医
農場での衛生対応事例

 近年、採卵鶏での鶏アデノウイルス感染症発生の事例が増えています。採卵鶏での発生事例に共通していることは、有色鶏の産卵立ち上がり時での発生であることです。ストレスや免疫力低下によって発症して筋胃びらんを引き起こし(写真)、産卵率の低下やへい死の増加が見られます。生菌剤給与によって発生が抑えられた事例もあり、産卵開始にともなうストレスの緩和が重要な対策となります。

近年のHPAI発生状況

 昨シーズンに国内で猛威を振るった高病原性鳥インフルエンザウイルスはH5N8型で、家きんでの発生は計52事例、殺処分羽数約987万羽で過去最大規模となりました。発生農場の現地調査から、鶏舎ごとの長靴未設置、車両消毒不備、野生動物侵入の痕跡、防鳥ネット不備などの注意事項が示されており、日頃から飼養衛生管理基準を徹底する必要があります。

鶏アデノウイルスが引き起こす筋胃びらん
(左)酸化した血液とみられる黒色の内容物
(右)内容物を洗い流して確認されたびらん(矢印部)
飼養衛生管理基準改正

 昨シーズンの大規模なHPAI発生を受け、農水省は家畜防疫対策に関する法律等の見直しに向けてその改正案の概要を示しました。改正点は①飼養衛生管理指導等計画の策定②大規模農場での畜舎ごとの飼養衛生管理者の配置③大規模農場では殺処分にかかわる対応計画の策定④埋却地または焼却施設の確保となります。

※詳細はDr.ジーアをご覧ください。

呼吸器病対策

 適切な換気は良好な鶏舎環境の維持に重要ですが、換気不足になると鶏伝染性気管支炎(IB)などの呼吸器病が誘発されます。IB対策としてワクチンは有効ですが、IBウイルスは変異しやすいため、農場の流行株に適合したワクチンを選択する必要があります。
 このたび発売する『IB生「科飼研」JPⅢ』は、国内で広く浸潤しているJP―Ⅲ型に対して高い有効性を示すワクチンであり、農場の生産性向上に寄与すると考えています。

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