マーケット情勢

情報マーケット情勢
各畜種の家計消費量・家計消費金額は総務省家計調査より
マーケット情勢(全農畜産総合対策部・4月まとめ)

豚肉

 2月の全国の肉豚出荷頭数は1,295千頭(前年比96.9%)と前年並みとなった。地域別出荷頭数を前年比で見ると、北海道100.9%、東北99.7%、関東96.8%、北陸甲信越95.3%、東海105.6%、近畿101.4%、中四国99.8%、九州・沖縄101.5%だった。

 全国と畜頭数の3月の速報値は、1,452千頭(前年比95.6%)と前年をやや下回る見込み。稼働日数は昨年より1日少なく、1日あたりの平均と畜頭数は66,018頭(前年差-6頭/日)と前年並みとなっている。
2月の輸入通関実績は、豚肉全体で71.9千t(前年比111.9%、前月比87.0%)と前年を大きく上回り、チルドが35.2千t(前年比111.1%、前月比90.3%)、フローズンは36.7千t(同112.7%、同84.2%)だった。国別で見ると、チルドでは米国とメキシコが増え、フローズンではスペインの大幅な増加が目立つ結果となった。

 総務省発表の1月の家計調査報告によると、全国2人以上の1世帯あたり豚肉購入数量は1,923g(前年比96.7%)、支出金額が2,755円(同97.8%)となり、ともに前年をやや下回ったものの、コロナ前と比較すると大きく上回っている(※2019年度比:購入量110.7%、金額111.6%)。

 3月の東京市場枝肉卸売価格の速報値は、509円/㎏(前年比106.1%)と前年を上回った。前半は輸入物の数量不足に加え、鍋需要などの内食需要に支えられ底堅く推移した。後半は外食・行楽需要へのシフト及び食肉業者の年度末決算に向けた在庫調整のための買い控えなどから軟調に推移した。

【令和4年5月の相場予想】※東京市場 上物・税込540円

豚枝肉「上」の卸売価格(東京食肉市場)
豚枝肉の家計消費量と消費金額(全国1世帯あたり)

牛肉

 2月の成牛と畜頭数は、77.5千頭(前年比100.6%)と前年並みだった。内訳を見ると、和牛33.6千頭(前年比100.2%)、交雑牛17.7千頭(同103.4%)は前年を上回った一方、乳牛去勢11.5千頭(同 91.6%)は前年を下回った。

 2月の輸入通関実績は、全体で37.8千t(前年比101.2%、前月比93.5%)と前年をやや上回った。内訳はチルド16.4千t(前年比91.8%、前月比100.6%)、フローズン21.3千t(前年比109.8%、前月比88.7%)となった。米国や豪州での現地価格が高騰した影響を受け、チルドでは両国などからの数量は減少したものの、フローズンでは米国以外の国が増加している。

 総務省発表の1月度家計調査報告によると、全国2人以上の1世帯あたり牛肉購入量は544g(前年比93.6%)、支出金額が1,781円(同92.8%)となり、ともに前年同月を下回った(※前々年比:購入量107.7%、金額104.5%)。

 3月の東京市場枝肉卸売価格(速報値3月31日時点)は、和牛去勢A5が2,640円(前年比94.7%)、和牛去勢A4が2,402円(同92.8%)、和牛去勢A3が2,196円(同91.4%)、交雑牛B3が1,525円(同95.3%)、乳牛去勢B2が1,067円(同107.8%)だった。

 3月は外食需要の緩やかな回復や好調な輸出需要に支えられ、前年には及ばないものの、総じて上げ相場となった。4月は、GWに向けた行楽需要の高まりから焼き材の引き合いが強くなることが予想され、特に和牛は昨年同月を上回り、乳牛去勢牛についても輸入代替需要が続いて底堅い相場展開となる見通し。

【令和4年5月の相場予想】※東京市場 税込
◎和牛去勢A4:2,600円 ◎交雑去勢B3:1,730円 ◎乳牛去勢B2:1,050円

和牛枝肉「去勢A-4」の卸売価格(東京食肉市場)
乳用枝肉「去勢B-2」の卸売価格(東京食肉市場)
牛肉の家計消費量と消費金額(全国1世帯あたり)

鶏卵

 2月の全国の餌付け羽数は8,140千羽(前年比97.5%)。東西別の前年比では、東日本が105.8%と上回り、特に東北エリアで110.1%、関東エリアで109.2%と伸長した。一方、西日本は89.3%と下回り、特に東海エリアで58.3%、九州エリアで81.9%と減少した。生産量は、一部産地における生産調整が引き続き実施されたことで、産地在庫も適正~やや少な目となった。今後について、餌付け羽数の動向からは回復傾向となる見込み。

 2月の鶏卵の一人あたり家計消費量は895g(前年比97.3%)。また令和2年度との比較では、前々年同月比96.7%となっている。新型コロナウイルスの感染拡大による荷動きへの影響は依然として見られるが、巣ごもり需要は次第に落ち着いた形となった。今後のテーブルエッグの引き合いは、まん延防止等重点措置が解除されたことによりコロナ禍以前の需要に戻ることが予測される。

 3月の東京相場の月間平均は、Mサイズ195円(前年比-25円、前月比+20円)。需要面は、まん延防止等重点措置が解除されたことから業務・外食筋で緩やかな回復が見られ、量販店の巣ごもり特需は落ち着きつつあるものの、堅調な推移となった。

 今後、一部で生産調整明け鶏群の産み出しが予想される。まん延防止等重点措置解除以降の需要面は大手ファストフードのプロモーションが終了するため落ち着く可能性があるが、春の行楽需要の盛り上がり等、回復に期待したい。相場展開については、生産調整明け鶏群の回復のタイミングや需要等の状況次第ではあるものの、もち合いから強含みと予想する。

鶏卵取引価格・全農たまごMサイズ基準値(東京)
鶏卵の家計消費量と消費金額(全国1世帯あたり)

鶏肉

 生産・処理動向調査によると、2月の推計実績は処理羽数57,360千羽(前年比100.0%)・処理重量177.1千t(同101.7%)で、前月時点の計画値に比べ、処理羽数は1.4%下方修正となり、処理重量は1.7%上方修正となった。

 財務省が3月30日に公表した貿易統計によると、2月の鶏肉(原料肉)の輸入量は前月より4.2千t減の49.6千tで、国別ではブラジルが3.8千t減、タイが0.4千t増となっている。ただ、前年同月と比べると4.1千t増となり、国内在庫の減少や、テイクアウト向け需要(中食)の高まりから、加工向けの引き合いが強まったと考えられる。

 2月の推計期末在庫は国産33.9千t(前年比123.2%・前月差-1.2千t)、輸入品129.3千t(同99.7%・同+6.1千t)と、合計で163.2千t(同103.8%・同+4.9千t)となった。

 3月の月平均相場は、もも肉631円/㎏(前月差-15円)・むね肉316円/㎏(同-7円)、正肉合計で947円/2㎏と前月差で22円下回り、前年差では48円下回った。もも肉相場は月初640円、月末は625円までの15円の下がり幅だった。鍋物需要はある程度あったものの、全国的に需要に対して供給量が潤沢であったことや、東日本の一部地域を除き気温が平年よりも比較的高かったこと等から、相場の下がり幅は前年を上回ったと考えられる。むね肉相場は年末に凍結した在庫の消化や在庫積み増しを回避する動きから下げ基調であったが、競合する輸入鶏肉の在庫水準が低いこともあり、前月から7円の下げにとどまった。

【令和4年5月の相場予想】 ◎もも肉:615円 ◎むね肉:330円

ブロイラー(正肉)市況の推移
ブロイラーの家計消費量と消費金額(全国1世帯あたり)

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