酪農レポート
牛乳消費拡大の取り組み

2022.10

酪農が果たす役割

 牛乳・乳製品は栄養や吸収率に優れた食品であり、加工食品の原材料としても利用されるなど、私たちの食生活を幅広く支えています。

 また、酪農は耕種農業が困難な山間地や寒冷地などの条件不利な地域でも、営農できるという特徴があります。草地利用や林間放牧による土地利用、荒廃農地の有効利用、雇用創出など、日本の国土の保全と里山の美的環境の維持、地域の活性化にも貢献しています。

 さらに、牛は牧草や食品の製造過程で発生する副産物など、人が食べることのできない資源から食料を生産し、牛糞はたい肥として利用されるなど、資源循環の一部を担っています。

牛乳乳製品需給とその課題

 生乳は例年、春先と年末年始に需給が緩和します。春先は牛にとって快適な気候のため、生乳生産が好調になる一方で、ヒトはあまり喉が乾かないことや春休み・GWで学校給食がないため消費が少なくなり、生乳需給が緩和します。年末年始は、冬休みで学校給食がない上、お正月にはあまり家庭で牛乳が飲まれず、消費量が年間で最も落ち込む時期のため、生乳需給が緩和します。

 酪農乳業界では、年末年始と春先に賞味期限の長いバターや脱脂粉乳等に加工することで、生産者が丹精込めて搾った生乳を余すことなく需給調整しています。バター不足以降取り組んできた増頭対策が功を奏し、生乳生産量はようやく増加基調となりました。

 一方で、コロナ禍による急激な需要の停滞により、バター等を作る工場の受け入れ可能量を上回って生乳が供給されるおそれ(処理不可能乳の発生)が懸念されています。(表添付)

 昨年来、飼料穀物、肥料、燃油等の生産資材価格が高騰し、春先からの急速な円安の進行が重なり、酪農経営はかつてない厳しい事業環境に直面していることから、中長期的な生産基盤の維持・確保が危ぶまれる状況に陥っています。同様に、乳業者への影響も大きく、物流や製造などに掛かるコストも上昇しています。

 この難局を乗り越えるためには、酪農乳業への理解醸成や実効性ある消費拡大の取組が重要となります。

新商品の紹介

 JA全農は低迷する需要を喚起し、日本の酪農を応援したいという思いから、これまで2つの乳飲料を開発・販売してきました。第一弾としてミルクティー、第二弾としてカフェ・オレを開発し、そのどちらも牛乳を50%以上使用し、牛乳のおいしさを引き立てているというのが特徴です。(図添付)

 この度、第三弾として新たな商品「抹茶ミルク」を販売いたします。本商品の発売を通じて、牛乳の消費拡大に貢献するとともに、酪農生産基盤の維持に向けて一丸となって取り組んでまいります。

図 牛乳を50%以上使用している商品を開発

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