第42回全農肉牛枝肉共励会
和牛・うしの中山(鹿児島)初栄誉 交雑・緑陽肉用牛牧場(北海道)2連覇

2023.04

 JA全農は2月3日、大阪市中央卸売市場南港市場で「第42回全農肉牛枝肉共励会」を開いた。和牛の部では(有)うしの中山(鹿児島県鹿屋市)が最優秀賞を獲得し、交雑牛の部では(有)緑陽肉用牛牧場(北海道士幌町)が2連覇(前年はグループ会社)を果たした。

西日本最大規模の共励会で、今回は15道県から黒毛和種94頭、交雑種(F1)35頭の計129頭が出品された。審査委員長を務めた日本食肉格付協会の芳野陽一郎専務理事は全体を通じて、「黒毛和種では、BMS Noの平均値が全国平均を大きく上回ったほか、雌・去勢全体の肉質5等級率は91.5%にのぼった。特に去勢牛に肉質が良好な枝肉が多く、高いレベルの枝肉共励会となった」と評価した。

和牛の部・全頭4等級以上 うしの中山・圧倒的肉量感

 和牛の部は雌8頭、去勢86頭の出品があり、全頭が4等級以上だった。BMS No12が43頭で、去勢ではBMS No10以上が75.5%を占めた。枝肉の平均重量は昨年より雌で約50kg増加し、全国平均を約70kg上回った。同部の品質概略は次の通り。

枝肉重量(kg)

  • 雌525.4/去勢549.0

ロース芯面積(cm2

  • 雌76.6/去勢81.2

 最優秀賞のうしの中山は、昨年開かれた鹿児島全共8区で優等賞1席を獲得し、本共励会でも入賞常連だったが、最優秀賞の受賞は初めて。審査講評では、「600kg超の大型牛で、カタ、ロイン、モモの厚みが素晴らしく、肉量感の豊かさが飛びぬけていた。肉質も肉色、光沢、脂質が全て良質で最優秀賞にふさわしい逸品」と高く評価され、審査員満場一致で選ばれた。今共励会最高値の1kg4028円で落札された。

最高値の4028円で落札

交雑牛・3等級以上が94% 緑陽肉用牛牧場・〝和牛体型〟

 交雑牛の部は雌18頭、去勢17頭が出品され、歩留等級はAが20%、Bが60%、Cが20%だった。肉質等級は4以上が42.9%、3以上は94.3%だった。同部の品質概略は次の通り。

枝肉重量(kg)

  • 雌519.3/去勢552.8

ロース芯面積(cm2

  • 雌62.3/去勢54.1

 最優秀賞の緑陽肉用牛牧場は、昨年受賞したグループ会社の十勝緑陽牧場に続き、2年連続で栄冠を手にした。更に、優秀賞、優良賞もグループで独占する快挙を成し遂げた。審査講評では、「枝肉全体の厚みに富み、脂肪の付着も均等で、正しく〝和牛体型〟。良形のロース芯とバラの厚みも充実しており、出品牛の中で最も肉の光沢と脂肪の質に優れた枝肉だった」と評価され、満場一致での選出となった。

和牛・最優秀賞

鹿児島県 (有)うしの中山 中山高司代表

 鹿児島全共8区優等賞1席に続き、今共励会でも最優秀賞を受賞できたのは、坂本晃汰場長をはじめとする従業員の熱い気持ちのおかげです。
 味にこだわりぬき、おいしくするためにはどうすればいいかを常に考えて餌を工夫してきました。黒酢もろみやさまざまな酵素を給与し、牛の能力を最大限引き出すことに注力しています。
 今後も牛から“命をいただいている”との思いを持ち、1日2回、全頭に声をかけ、従業員とともにたくさん手をかけて大切に育てていきたいと考えています。

中山代表(左)と坂本場長

交雑牛・最優秀賞

北海道(有)緑陽肉用牛牧場 奥秋和博社長

 規模の大きな大会で2連覇でき、とても驚きました。ひとえに牧場で働いてくれているスタッフのおかげで、心から感謝しています。今回出品した「北美津久」4頭全ての状態が良く、血統の能力をうまく引き出すことができました。

 昨年の秋以降、高騰する餌代の負担を軽くするため、肥育期間を14~15カ月と、従来より1カ月短くしました。重量は10~15kg落ちましたが、質は維持できており、今後も短期肥育を更に極めていきたいと考えています。

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