教えて!中研 養豚

教えて!中研 養豚
「冬場を迎えるにあたって」
寒さ対策で成績安定 出荷頭数の落ち込みを防ぐ技術

冬場は母豚や子豚の状態が心配になる季節です。冬の飼養管理でつまずくポイントと、解決策として優先度の高い技術をまとめました。出荷頭数の落ち込みを防ぐためにも、ぜひ、農場の研修会などで活用してください。

養豚研究室

図1 養豚経営で冬場につまずく飼養管理のポイント(養豚研究室)

冬に分娩する母豚の栄養状態に注意

 冬に分娩する母豚は、栄養状態が他の季節と異なります。それは、夏の暑さの影響で痩せた母豚が、秋の交配時に発生しやすいことです。
 分娩時にP2点(最終肋骨の直後と脊椎が垂直に交わる点から左右に約5cm離れた点)の背脂肪厚を測定し、母豚が交配した季節で分けて示しました(図2)。これを見ると、秋季(10~12月)に交配した母豚は2~4月に分娩しますが、分娩時の背脂肪厚が他の季節よりも薄くなっていることが分かります。

母豚が痩せる主な原因

  1. 前産の妊娠・授乳期間となる夏に受けた暑熱ストレスにより消耗している。
  2. 妊娠期間に本格的な冬を迎え、体温を維持するためには多くのエネルギーが必要となり、脂肪が十分に蓄積できていない。

◾️ポイント

 夏の暑さの影響を大きく受けて痩せた母豚に交配を行う際の対応が重要

図2 交配時期と分娩時母豚の背脂肪厚のデータ(養豚研究室)

冬場につまずくポイント① 母豚と畜舎の確認を

 冬を迎える前の夏の終わりから秋にかけて、母豚の体調と畜舎の設備の確認を行うことが重要です。

母豚の健康管理の対策

  • 背脂肪厚、給餌量を確認し調子の悪い母豚を見つける
  • 腹冷え対策のため、ピッカーの水漏れを確認し、こまめに除糞作業を行う
  • 照明を掃除し、照明の管理を見直す
  • ファンやインレットからの入気、すきま風が母豚に直接強く当たらないように注意する(写真1)
写真1 母豚への直接の強い風は厳禁

全ての豚舎設備の確認

  • 換気不足による子豚の発育低下を防止するため、ファン、インバーター、入気口を掃除(写真2)(写真3) 
  • 火災事故防止のため、分娩舎や子豚舎に設置している、ガスブルーダー(写真4)、コルツヒーター(写真5)を点検
  • 冷たい風が豚に直接当たらないようにする
  • 室内温度の維持、最低限の換気を行う
図3 陰圧換気の豚舎イメージ
写真2 ホコリが付着した
換気扇シャッター
写真3 ホコリが付着した
天井インレット
写真4 ガスブルーダー
写真5 コルツヒーター

冬場につまずくポイント② すきま風、豚舎の温度と換気

 壁や屋根、天井などに穴が開いているとそこからすきま風が入り、豚を冷やす原因となります(写真6)。また、豚舎内に換気ムラが生じる可能性があります。発煙管や線香などを用いて穴の位置を特定し、パテなどで補修しましょう(写真7)。
 すのこ床では床下から吹き込む風を防ぐため、ビニールシートなどを使い、ピットの端からの冷たい外気の流入を遮断することも有効です。特に、機械で制御されたウインドウレスの陰圧換気の豚舎でも経年劣化によって、気密性が悪くなっている場合、すきま風が発生しやすいので厳重に注意してください(図3)。

写真6 ドア下の隙間にはゴム板などを設置し、すきま風を防止
写真7 穴はパテやシリコン剤などで塞ぐ

冬場につまずくポイント③ 豚舎の換気と温度管理

 豚舎内の温度の確保を優先すべきですが、冬季も十分な換気を行う必要があります。完全に閉め切るのではなく、ファンの風量やカーテン、シャッターの開閉を調整し、最低限の換気を実施することが大切です。
 また、畜舎内の温度を計測する場合、可能な限り豚と同じ高さに温度計を設置します。特に冬場は温まった空気が高い位置に上がり、豚のいる低い位置との温度差ができやすいので計測時に注意が必要です(図4)。

図4 温度計の設置場所と、豚舎の上部と下部の温度や換気指標
参考となる記事 ちくさんクラブ過去号から

母豚の調子が悪い場合

寒さから豚を守る

寒さに立ち向かう環境整備

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