きてみて!うちの学校
鹿児島県立鶴翔高等学校

2023.10

 和牛甲子園をはじめ、数々の大会で優秀な成績を収めている鹿児島県立鶴翔高等学校。

 その強さの秘密は、次世代の担い手として就農を目指し、真剣に学ぶ生徒たちにあった。

 近隣農家やJAと連携し、地域に根差した農業を日々学んでいる。

 夏空の下、牛とともに生き生きと学ぶ生徒たちの姿を追った。

「挑戦・感動 そして愛」をモットーに挑戦を後押し

 7月中旬、阿久根市にある鶴翔高校の牛舎を訪問した。牛舎にいたのは、クラブ活動「食農研究部」に所属する、1〜3年生の生徒たち。将来は畜産に関わる仕事を目指す生徒が多く、「大学で学んだ後、家業の畜産を継ぐ予定です。自分が理想とする農業経営に挑戦したいです」と就農を意識する生徒も少なくない。厳しい暑さの中、額に汗を浮かべながら牛の体重測定や餌やりといった実習に打ち込む姿はすがすがしく、頼もしい。

 鶴翔高校は、地域とさまざまな結び付きを持つ。農業科学科では4年ほど前から、市やJAと連携した援農活動を実施。生徒たちは年に3回ほど、かんきつ「紅甘夏」やバレイショを栽培する地域の農家を手伝っている。また、和牛甲子園や家畜審査競技会といった、全国的なイベントにも積極的に挑戦。和牛甲子園の取組評価部門では過去に2度入賞し、今年開催された家畜審査競技会(肉牛の部)では、3年生の田淵翔太さんが優秀賞2位、農業鑑定競技会で脇田翔太さんが最優秀賞を受賞するなど、好成績を収めている。

みんな仲良し!

校名

鹿児島県立鶴翔高等学校

所在地

鹿児島県阿久根市赤瀬川1800

生徒数

213名(2023年4月時点)

設立

平成17(2005年)年4月1日

学科

総合学科、農業科学科、食品技術科

特徴

 阿久根、阿久根農業、長島の3高校を再編成して設立。学科は、アカデミア系列や情報ビジネス系列などを学べる総合学科から、農業生産や流通、販売まで網羅する農業科学科、食品技術科まであり、生徒たちは各々の興味に沿って学習を進められる。3年次の夏休みから、丁寧かつ実践的な進路指導が実施される。スクールモットーは「挑戦・感動 そして愛」。和牛甲子園には、第1回から全て出場。

牛舎をもっと快適に!

独自に配合した飼料で牛たちの健康を維持

 牛舎では、さまざまな月齢の牛が飼育されており、それぞれに、独自の基準で配合した粗飼料と濃厚飼料を与えている。過去に近隣の肥育農家から教えてもらった内容を基に、学校側でベストと思われる配合を編み出し、長年これに沿って給餌しているという。

 餌として、サトウキビの搾りかすを乾燥させた粗飼料「バガス」も与えている。「『バガス』は、この辺りのJAでは日常的に流通しています。食物繊維が豊富に含まれており、牛の健康に寄与するので、積極的に牛に与えています」と、農業科学科の満留洋先生は話す。

 また、「牛舎をもっと快適にしたい」(生徒)と考え、食農研究部が主体となり、牛舎内の臭いを軽減するための研究に取り組んでいる。納豆菌、コーヒーかす、木炭を牛床に散布し、それぞれの消臭効果を調べているという。これに加え、牛のストレス軽減のため、灯籠に色紙を貼り、色別によるハエの捕獲の比較調査も試みている。

飼育のこだわり

 繁殖、肥育45頭を飼養する鶴翔高校では2.6haの牧草地を保有しており、乾草用としてローズグラスを、サイレージ用としてイタリアンライグラス、エン麦を育てている。満留先生によると、乾草、サイレージは、校内で100%自給できているそう。また、循環型農業を実践するべく、学校の牛舎から出た堆肥は発酵させて肥料にし、校内の畑に還元している。学びを深めるため、教室を備えた牛舎が新設される予定だ。

学校で栽培しているローズグラス

牛の体重測定もお手のもの

田淵 翔太(たぶち しょうた)さん

家畜審査競技会への参加をきっかけに、牛への関心がさらに深まりました

脇田 翔太(わきた しょうた)さん

実家が畜産農家で、学校で学んだことや研究結果は、家の牛舎でも生かしています

IoTでスマート畜産を推進

IoT機器を使って学びスマートな農家を目指す

 鹿児島県はスマート畜産を推進しており、約5年前、県内のおよそ半数の農業高校にロボットトラクターやドローンを整備した。鶴翔高校では、整備されたIoT機器を用いた実習を年に1回、実施している。

 学校で飼養している雌牛の一部には、発情期特有の行動をとると管理者宛にメールで通知を出すバンドが装着されている。本機器を導入後、授精のタイミングを逃すケースが減り、校内での子牛の生産頭数が増えたという。

 生徒たちも「将来はIoT機器を実家の牛舎で導入したい」と意欲的だ。「IoT機器を導入すれば労働環境が改善され、農業のイメージもさらに良くなるはず。学校でIoT機器を用いた農業を教わったのを機に、生徒がもっと農業を好きになってくれたらうれしいですね」と、農業科学科の学科長を務める柳田和彰先生は話す。

自発的な生徒が多く頼もしいです
柳田 和彰先生 満留 洋先生

セールスポイント

 鶴翔高校の食品ブランド「3年A組の」は、地域内だけでなく東京をはじめとする都市部でも人気を集めている。ラインナップは、地域の生産物を使ったジュースやジャムなどの各種加工品。生徒たちが味と思いを代々受け継いでいる。中でも人気なのが、味わい深く、おつまみにぴったりな豚味噌(みそ)。

ジュースやジャムなど多彩なラインナップ

徳留 陸人(とくどめ  りくと)さん

皆で工夫しながら牛を育てています。和牛甲子園では、いい結果を残したいです!

内田 涼(うちだ りょう)さん

将来の夢は、畜産農家。たくさんの牛を健康に育てていける力を身に付けたいです

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