全農独自開発の養鶏向け夏場対策資材
「フェスタU」について

2025.07

今年も暑い夏がやってきました。気象庁によると2025年の夏は、記録的な猛暑であった一昨年、昨年に引き続き、平年より暑くなる見込みです。年々暑さを増す夏場に向けた対策について、今回は今年の夏から発売を開始した、夏場対策資材「フェスタU」をご紹介します。

 「フェスタ」は全農独自開発の夏場対策資材として2014年から販売されている、抗酸化作用のあるビタミンと植物性ポリフェノール資材の混合飼料です。夏場に差し掛かり、鶏舎内温度が上昇すると、鶏の体内では暑熱ストレスに対して、活性酸素種(ROS:Reactive Oxygen Species)が過剰に産生され、体内の抗酸化メカニズムによるROSの除去が間に合わなくなり、体を構成する細胞や生体反応に利用されるたんぱく質や酵素などが障害を受けます。フェスタに含まれる抗酸化成分は、体内の抗酸化メカニズムをサポートすることで、夏場の生産成績の低下を緩和する効果が期待できます。そして、ますます過酷な近年の夏場を乗り切るため、フェスタは「フェスタU」と名前を新たに、生まれ変わって今年5月より発売いたしました。

 フェスタUについて3つのポイントをご紹介します。

Point1 JA全農グループ 2研究所の共同開発

 JA全農畜産生産部の研究所である、茨城県つくば市の飼料畜産中央研究所と、千葉県佐倉市の家畜衛生研究所が共同で開発を行いました。

 家畜衛生研究所での基礎的な研究を踏まえ、飼料畜産中央研究所で飼育されている鶏での給与試験を行い、製品を開発しました。そしてこの度、2025年5月よりJA全農グループの株式会社科学飼料研究所より製造供給を開始しました。

Point2 飼料添加物タウリンを配合し、夏場に鶏の体内で不足する成分を補給する新設計

 家畜衛生研究所の基礎研究により、慢性的な暑熱ストレス下にある鶏の血液中では、タウリンが減少していることが分かり、実際にそのタウリンの機能性に着目した研究結果も多数報告されています。タウリンは抗酸化能をもつアミノ酸であり、鶏の体内でも合成されますが、天然の抗酸化物質としてあらゆる酸化ストレスから身を守るだけでなく、脂質代謝や筋肉の保水性維持など、生体でのさまざまな役割についても報告されています。これらの知見をもとに、飼料畜産中央研究所での飼養試験を行い、タウリンの給与効果を検証しました。夏場(7-9月)の時期、31週令のボリスブラウンにタウリン入り飼料を給与して、産卵成績への影響を調べました。その結果、タウリンの給与により、夏場の暑熱ストレスによる産卵成績の低下を緩和することができました(図1)。

図1 採卵鶏におけるタウリンの給与効果

 また夏場(8-9月)の時期、ブロイラーの生産成績においても、タウリンを給与したところ、増体重、飼料摂取量を改善し、夏場の低下を緩和することができました(図2)。

図2 ブロイラーにおけるタウリンの給与効果

Point3 従来のフェスタのビタミン、植物性ポリフェノールを加え、体内の抗酸化能を高める夏場対策資材

 これら採卵鶏、ブロイラーの結果を踏まえ、全農オリジナルの夏場対策資材「フェスタ」にタウリンをブレンドした新たな製品として、「フェスタU」を開発しました。

 フェスタUには、タウリンに加え、抗酸化ビタミンであるビタミンCやE、そして優れた抗酸化物質であるブドウポリフェノール、ウコンポリフェノールをバランスよく配合しております。フェスタUは、暑熱ストレスが生じる前から給与を開始することで、鶏の体内の抗酸化能を事前に高めておくことが可能です。それにより、暑熱ストレスにより過剰産生されたROSの除去を素早くサポートし、飼養成績の低下を緩和することができます(図3)。より一層厳しくなる夏の暑さを、あなた(YOU)と一緒に乗り切りたいという思いで、開発しました。夏場対策にお困りの際は、ぜひ「フェスタU」の活用をご検討ください。

図3 採卵鶏におけるフェスタUの給与効果

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