北海道札幌市 ホクレンくみあいファーム
鶏ファーストで実現する安全、安心、安定の卵生産:北海道ホクレンくみあいファーム

2025.10

ホクレンくみあいファーム株式会社
(Hokuren kumiai farm)
代表取締役社長:大野 剛
設立年:2024年
本社:北海道札幌市中央区北4条西1丁目1番地 共済ビル5階
農場:愛別農場、恵庭農場、白老農場、十勝清水農場
従業員数:本社6人、農場52人(臨時・派遣・外国人技能研修生含む)2025年6月現在
飼育羽数:ひな約20万羽/年、成鶏約57万羽
生産量:鶏卵約1万t/年
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札幌市のホクレンくみあいファーム(株)は、2024年にJA全農とホクレングループの採卵養鶏農場運営会社として誕生した。北海道内の4農場で年間約1万tの鶏卵を生産し、ホクレンが取り扱う鶏卵の半数を安定的に供給する体制を構築している。高病原性鳥インフルエンザ(以下、鳥インフルエンザ)対策や吸血衛生害虫のワクモ撲滅、北海道産の飼料にこだわったブランド卵の生産にも積極的に取り組む。新会社に生まれ変わったメリットと安全・安心な卵を安定供給する同社の魅力に迫った。

 ホクレンくみあいファーム(株)を構成する4農場は、ホクレンくみあい飼料(株)の業務部農場運営室として2021年から事業を行っていた。JA全農、ホクレンなどで協議し、持続可能な系統鶏卵事業の方向性や、補助事業の活用による投資コスト抑制、競争力強化の観点からホクレンくみあいファーム(株)を設立。2025年4月から農場事業の業務を始めた。

 並行して国の畜産クラスター事業(施設整備事業)の申請・承認がなされ、恵庭農場での鶏舎2棟、事務所の新築、集卵所の補改修を行っている。

 安定した雇用は安定した生産につながるため、従業員の労働環境の改善にも積極的に取り組む。男女別のトイレや更衣室の設置、資格取得のサポート、雇用条件面の充実など、安心して働ける環境を整備している。

鳥インフルエンザ対策は関係各所が連携して徹底的に

 ホクレンへの安定的な鶏卵(原卵)供給体制を確立するために、鳥インフルエンザなどの重大疾病の防疫体制は大きな柱となる。

 2カ月に一度、管理獣医師と(株)科学飼料研究所、JA全農家畜衛生研究所クリニックセンターが合同で農場を巡回し、鶏舎の破損箇所や、場内散布消石灰・踏込み消毒槽の交換など農場の防疫状況を点検している。

 渡り鳥の飛来状況や世界における鳥インフルエンザの発生状況など、最新情報も共有。家畜保健衛生所と定期的に協議し、鳥インフルエンザ発生時の対応を机上でシミュレーションしている。

 この他、場内散布の粉状の消石灰を粒状へ変更。消石灰有効性可視化剤「リトアクア」による効能調査、「音撃カラススナイパー」によるカラスの忌避、車両消毒ゲートの設置、ネズミ監視カメラの開発、夜間暗視カメラによる野生生物の行動調査などで対策している。

 愛別農場では、生産性を著しく低下させる吸血衛生害虫のワクモ対策に取り組んだ。汚染されている鶏舎からの人の移動を禁止。加えて、鶏舎の洗浄や薬剤の散布など、従業員の根気強い対策で2023年に撲滅を確認した。

 農場は全てウインドウレス鶏舎で、自動給餌や自動集卵のシステムを備える。白老農場と恵庭農場では数年前からシステム鶏舎への更新を行い、給餌量や温湿度などのセンサーを備えたファームコンピューターで、鶏舎内環境と生産管理のリアルタイムデータを管理している。

 親会社が飼料会社というメリットを最大限に生かし、鶏の状況に合わせて飼料の配合をきめ細かく速やかに変更できるのは、他の養鶏農場にはない特徴だ。

より一層の安全・安心を求めて私たちは日々進化し続けます

 私たちホクレンくみあいファーム株式会社は、2024年10月にJA全農&ホクレングループの採卵養鶏農場運営会社として誕生しました。

 2025年4月からホクレンくみあい飼料株式会社の4つの農場を引き継ぎ、北海道内において有数の採卵養鶏会社です。

 安全・安心なホクレンのたまごを安定的に食卓に届けるため、従業員一同がんばってまいります。

代表取締役社長
大野 剛さん

最近の社内の動き

  • 鳥インフルエンザ対策の徹底
  • 施設・設備の更新、改修
  • アニマルウェルフェアの取り組み
  • 職場環境の改善、働き方改革の推進

北海道産の原料を活用した特徴飼料を開発

 農場で生産した鶏卵は、全量をホクレンへ販売。ホクレンGPセンターでパッキングした後、道内を中心にホクレンショップやスーパーなどの店頭に並ぶ。

 白色鶏卵は、ビタミンEを強化し、酵母や乳酸菌などの微生物資材を活用。赤色鶏卵は、JA全農・JA全農たまご(株)で開発した米油や魚粉、糖蜜を配合している特許飼料「生食用鶏卵の生産方法(卵かけご飯用鶏卵の生産方法)」を給与している。また、北海道産の小麦、子実用トウモロコシ、飼料米を配合し、付加価値を高めている。

 質にこだわるホクレンの鶏卵は香港にも輸出しており、販売チャネルの開拓にも余念がない。

 会社が設立されて間もないため課題も多いという。「老朽箇所の補修、雨水対策や路面の改善、鶏糞処理体制の見直しなど多岐にわたります。各農場と本社で毎月実施している生産管理会議では、生産成績の改善や課題の早期解決を行っていますが、すべてを一度に実施することは難しいです」と生産・管理部長の池田謙太郎さん。

 まずは雇用促進を強化して安定的な生産体制の構築を目指す。同時に、飼料を中心としたコスト圧縮、適正な鶏卵品質とサイズなど、円滑な業務を遂行できる体制を心がける。さらに、鳥インフルエンザを発生させない環境を引き続き追求していく。

 ホクレンくみあいファーム(株)の挑戦は始まったばかりだ。

生産・管理部長
池田 謙太郎さん
「安定出荷が至上命題です。鳥インフルエンザ対策や従業員の待遇改善など、やれることはすべてやります!」

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