きてみて!うちの学校/兵庫県立但馬農業高等学校
2026.01

1976年4月創立の兵庫県立但馬農業高等学校は、県北部の但馬地方の養父(やぶ)市に位置し、県全域から生徒が集まる但馬唯一の単独農業高等学校。
八鹿町トガ山の丘陵地に広大な校地面積を有し、豊かな自然環境の中、農業教育を通して地域社会を支える優れた人材の育成を目指している。
「汗をいとわず 命を尊び 日々高きを志す」の校訓の下、生徒の個性と能力を最大限に伸ばす教育を推進。
生徒は「但馬牛」の飼育やオリジナルブランド「但農どり」の商品化など、充実した施設・設備で畜産技術を学んでいる。
校名
兵庫県立但馬農業高等学校
所在地
兵庫県養父市八鹿町高柳300-1
生徒数
154人(男子74人、女子80人)(2025年5月時点)
創立
1976年
学科
みのりと食科、総合畜産科

地域を支える人材を育成
兵庫県立但馬農業高等学校には「みのりと食科」「総合畜産科」の二つの学科が設置されている。農業の6次産業化や生産物の高付加価値化、食文化の継承、環境保全型農業の実現などを目標に掲げ、生徒の能力・適性・進路に応じた特色ある授業で農業を学び、社会の変化に対応できる実践力と創造力のある生徒の育成を目指している。
総合畜産科では64人の生徒が牛や鶏などの飼育を学んでいる。授業における畜産の知識や技術習得だけでなく、校外行事への積極的な参加など、但馬地域と連携した実践教育が特徴である。「但馬牛」の繁殖・肥育や育種改良、学校オリジナルブランドの「但農どり」の商品化にも力を入れており、畜産を通して農業を学び、食と命の関わりを畜産から学んでいる。
和牛のルーツ但馬牛を扱う誇り
総合畜産科では、繁殖母牛40頭、肥育牛32頭を飼育している。この地域の但馬牛生産農家には、同校の卒業生が多く、但馬牛業界において重要な役割を担っている。事業継承のみならず、新規就農や雇用就農で但馬牛に関わる卒業生も多く、地域の担い手を輩出している。
2024年度から和牛甲子園にも出場し、全国で但馬牛の魅力をアピールすることに努めている。役牛であった小型の個体という特徴を補うために、飼料の配合を工夫し長期肥育した牛を出品するなど努力を重ね、但馬牛の強みを引き出す飼育を目指す。「五感をフルに使って牛の変化を感じとることが大切。生徒には、五感を使って牛を観察することを学んでほしい」と担当教諭の大前先生は言う。

「飼育で大切なのは繰り返しの体験です。「体験」と「知識」を土台に、自分で考えることを学び、地域や但馬牛を支える担い手になってほしいです。」
持続可能な畜産を目指し科学的飼育管理を実践
同校は、京都大学大学院農学研究科生物センシング工学研究室の実験に9年にわたって協力し、肥育現場の情報収集を行い、実験データを共有しながら畜産課題の解決に挑んでいる。特に温室効果ガス削減の取り組みに力を入れており、和牛甲子園の取組評価部門のテーマとして、環境にやさしい但馬牛肥育の取り組みについて発表した。
生徒は、京都大学大学院が設置したバイオガス発酵槽を利用して肥育牛糞を発酵させ、ルーメン発酵由来のバイオガス排出量を分析・計量し、メタン濃度や排出量の測定を行い、再生可能エネルギーの生産や肥料としての再生産の可能性を探っている。
地球温暖化の一つの要因とされる、牛のゲップから排出されるメタンガスや二酸化炭素の抑制も進めている。飼料は国産稲わらにこだわり、メタン発生抑制に効果が期待できるといわれる脂肪酸カルシウムを配合。大前先生は「国産稲わらを使うことで、結果的にカーボンフットプリントの低減や温暖化対策、飼料自給率の向上につながるように取り組んでいます」と話す。
また、効率的な肥育を目指し、カメラによる牛の瞳孔画像分析や少量血液の蛍光分析によるウシ血中ビタミンAの測定を行っており、畜産技術の研究・発展にも寄与している。

唯一無二の教材・但馬牛が学習のモチベーション
生徒だけでなく先生も但馬牛に対する思いは強い。昨年度の和牛甲子園出品では、枝肉1kg販売単価で同校の出品牛が1位となり、品質の高さが評価されている。そんな但馬牛を「余すところなく学習の教材として活用しています」と大前先生は言う。近年は、飼育している母牛から採卵、受精卵移植する胚移植にも取り組んでおり、大前先生は「胚移植は職員の技術の向上と継承が課題ですが、繁殖肥育一環だからこそ可能な雌牛の長期肥育に挑戦できます」と力強く語る。


嶌田 茜(しまだ あかね)先生
生徒たちが育てた牛は、学校行事の収穫感謝祭で収穫の喜びと命の大切さを感じながらいただきます。

小西 沙季(こにし さき)さん
攪拌(かくはん)機に飼料を入れるのが大変です。去勢が興味深いですし、牛の体を洗ってあげることが楽しいです。

古賀 匠(こが たくみ)さん
肥育期間によってエサの配合を変えています。牛の扱いはなかなかうまくいかないこともありますが、角を切る除角は得意です。

社会動物の学習のために、イヌも飼育していますよ!地域の方の犬を預かり、課題研究でトリミングも行います。
但馬牛(たじまうし)とは
兵庫県産の黒毛和種のことで、古くから農耕用牛として飼育されていた役牛。兵庫県の美方地域など狭い地域で閉鎖育成され、純血の血統を持つ。日本の黒毛和種のほとんどは、昭和初期に生まれた「田尻号」の子孫といわれており、但馬牛は和牛のルーツともいわれている。
参考:JAたじまウェブサイト


小林 歩暉(こばやし いぶき)さん
但馬牛は全国の黒毛和牛の素牛なので、プライドを持って飼育しています。
牛を育てるにあたっては命に感謝することを心がけています。
販売会で飼育した牛の肉がお客さまに喜ばれるとうれしいし、楽しい経験です。

井口 大和(いぐち やまと)さん
座学では牛たちの知識を身に付け、実習では牛と対面して学んだ知識を確認しています。
但馬牛の質の良さを一般の人にも伝えたいです。育てた牛を販売し提供できることは、畜産の良いところだと思います。


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