配合飼料の価格上昇に対するJA全農の取り組み

2022.06

 現在、原料価格の高騰により配合飼料価格の上昇が続いています。

 その要因の1つは穀物価格の上昇です。中国では配合飼料の需要が急激に拡大しており、現在では日本を上回る世界一の穀物輸入国となりました。これにより穀物価格が上昇しています。更にロシアによるウクライナ侵攻が起きました。ウクライナは肥沃で広大な農地を持つ世界有数の穀倉地帯です。しかし侵攻により今春は穀物の作付けが進まず、秋の収穫が減るため、世界的な穀物の不足が懸念され、輸出にも支障が出ています。仮に侵攻が早期に終了し来年の春の作付けが復活しても、元通りの収穫が得られるのは来年の秋になります。

全農グレイン社の施設全景

 飼料価格高騰のもう1つの要因は日本と外国(特に米国)の金利差を要因とする為替の円安です。円安では1ドルと交換される円が高額になります。これは1ドル分のトウモロコシの輸入に必要な円が高額になることを意味しますので、円安は飼料価格の高騰につながります。その他の多くの飼料原料も価格の上昇が続いています。

 厳しさを増す畜産の現場においてJA全農は現在、組織を挙げてさまざまな角度から生産者の経営を支援する取り組みを行っています。

 JA全農はこの難局を乗り越えた先の未来を信じ、生産者の営農を支援する理念に立ち返った取り組みを進めてまいります。本誌や畜産情報サイト(JACCネット)では継続的に取り組みの事例を紹介いたします。

配合飼料安定基金制度の取り組み

 昨年度は生産者の資金繰りを考慮し、積立金の納付日を遅くするとともに補てん金の早期暫定支払を行いました。更に国と補てん財源の強化について協議し、昨年度は230億円、今年度は435億円の、国による異常補てん基金への積み増しが行われることとなりました。JA全農は民間基金の一員としてこれと同額の積立に参加します。配合飼料安定基金は生産者の積立金が大きく増える制度です。最近は価格改定額以上の高額の補てんが出ています。JA全農は会を挙げて、その補てん財源の確保に努めています。

インターネットでの生産性向上と家畜疾病対策の情報提供

 生産者の皆さまへ迅速に情報提供を行うため、JA全農の畜産情報サイト「JACCネット」を機能強化し、畜産情報誌「ちくさんクラブ21」のWeb化を行いました。長年にわたり生産者の皆さまとともに積み上げた生産性向上や家畜疾病対策の具体例をまとめたパンフレットや動画を新しく掲載しています。最新の飼料原料情勢や安定基金情勢も掲載しております。
 ぜひ一度ご覧下さい。

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