第27回全農肉牛枝肉共励会 ~栃木県の町井一貴さんが名誉賞~
2025.10

JA全農は7月4日、「第27回全農肉牛枝肉共励会」を東京都中央卸売市場食肉市場で開催した。全国18県から和牛・交雑種340頭が出品され、栃木県・JAかみつがの町井一貴さん(50)の出品牛(和牛去勢)が最高位の名誉賞に輝いた。栃木県としては、7年ぶり7度目の名誉賞受賞となった。最優秀賞は、宮城県(和牛去勢)、佐賀県(和牛雌)、栃木県(交雑種)が受賞した。
共励会には、和牛去勢212頭、和牛雌100頭、交雑種28頭、合計340頭が出品された。肉質「5」等級の割合は、和牛去勢で84・9%、和牛雌で89・0%、交雑種で7・1%となり、例年通り高い肉質等級を維持していた。平均枝肉重量は、和牛去勢が592・0kg、和牛雌498・0kg、交雑種622・0kgだった。また、1キロ当たり平均枝肉単価は各品種で昨年を上回り、特に名誉賞を受賞した枝肉は、枝肉単価が1万円を超える結果となった。

今共励会のレベルの高さを称賛 瑕疵の原因究明と対策も要請
審査講評に先立ち、JA全農畜産総合対策部 佐藤勧部長より主催者挨拶があり、「どの出品牛もレベルが高かった」とし、なかでも褒賞された生産者の方々を称えた。
審査講評を述べた小林淳二審査委員長(公益社団法人 日本食肉格付協会専務理事)は、出品牛が、共励会要領の畜種・性別ごとの出品資格をすべてクリアし、全頭が審査対象となったことを受け、「今年も大変素晴らしい枝肉が多く、審査員泣かせの共励会であった」と評価した。そして、「和牛去勢、和牛雌、交雑牛ともに全国平均を大きく上回る優秀な成績だった」と語った。
また、「特に交雑牛の脂肪の質が非常に良いものが多く印象に残った」と話した。交雑種のA4以上の割合は、35 ・7%だった。
一方、瑕疵(かし)は340頭中62頭にあった。バラの癒着などが多く見受けられ、「瑕疵の由来が分かっている方は改善をしていただき、瑕疵の発生を抑えていただきたい」と審査講評を締めくくった。
美しい枝肉の姿が印象的 小ざしが充実し、厚みに迫力
名誉賞を受賞した町井一貴さんの出品牛は、父が「福之姫」、母の父が「安福久」、母の祖父が「百合茂」。肥育期間31カ月で、枝肉重量556kg。格付A5、ロース芯面積112㎠、歩留基準値81・3、脂肪交雑(BMSナンバー)12、バラ肉の厚さ9・5cm、皮下脂肪の厚さは2・2cmだった。講評では「ロース芯の脂肪交雑はバラ寄りに粗いさしがあったが、僧帽筋、広背筋ともに小ざしで充実しており、厚みにも迫力があった。遠目から見ても、枝肉の姿が素晴らしかった」と高い評価を受けた。

受賞者
名誉賞

町井 一貴(まちい かずたか)さん
栃木県 JAかみつが
JAかみつがからは先輩方2人が名誉賞を取られていたので、いずれはそこに名を連ねたいと思っていました。正直実感はまだありませんが、義理の父も長年共励会に出品してきたので、愛情を込めて育てた牛が名誉賞を受賞できたのが一番うれしいです。名誉賞をいただいても、牛飼いとしては100点と思ってはだめだと思っています。この受賞を励みにし、今後も精進します。

最優秀賞 和牛去勢の部
千葉 進(ちば すすむ)さん
宮城県 JAみやぎ登米

素牛に恵まれたことが大きいです。また、肥育で気を付けていることは、毎日の管理など、日々取り組んでいることをやり続けることを大切にしています。
審査講評
ロース芯の大きさ、周囲筋の厚さは名誉賞にわずかに及ばなかったが、大変素晴らしい枝肉だった。父「百合未来」母の父「諒太郎」母の祖父「安福久」。歩留基準値78.6で、BMSナンバーは12と高評価だった。

最優秀賞 和牛雌の部
中山 駿(なかやま すぐる)さん
佐賀県 JAからつ

今まで去勢の部門と雌の部門では入賞していましたが、初めての最優秀賞なので良かったです。肉質や小ざしなど雌としては期待通りの枝肉でした。素牛の選び方が良かったのだと思います。
審査講評
雌らしい上品な枝肉で、サーロインへのさしの抜けも十分だった。父「真乃介」母の父「幸紀雄」母の祖父「安福久」。歩留基準値79.0で、BMSナンバーは12。

最優秀賞 交雑種の部
手塚 正(てづか ただし)さん
栃木県 JAしおのや

初めて賞をいただいて非常に嬉しいです。素牛導入の際にいろいろな観点で見ていることが結果に出たのだと思います。出荷前の体形は張りのあるいい体形で、期待通りの枝肉でした。
審査講評
BMSナンバーでは他に上回るものがあったが、ロース芯の大きさ、僧帽筋・広背筋の厚さの観点から最優秀賞に選抜した。歩留基準値は72.2で、格付はA5。


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